公益

滅多に手にせぬ類なれど「知事の真贋」(片山義博著)に「議論せず、決めない議会に存在意義はない」と見かけた。

同じく有権者の洗礼を浴びておられる身といえど、首長が常に正しいとは限らず、十に一つは...。役職に調査権が付与されているのだから腑に落ちぬことなどは堂々と聞けばいい訳で、どこぞの会派の質問に以下のやり取りを聞いた。

こたびの補正予算の中に路線バス会社への財政支援として七千六百万円が計上されており、市の答弁によれば、緊急事態宣言下の運行に要した燃料費の一部として一台あたり八万円を補助する、と。何もあの状況下に継続せしは路線バスのみならず、そこに限った理由やいかに。

一方、利用者は二割から三割程度の減少だそうで、各路線の動向に合わせて運行回数を変更して云々と。この期に及んで減便以外にあるまいに、さも増便も含まれるかの言い回しを聞かば相手方とのよからぬ関係を疑ってみたくも。

「それならばやむなし」との理由を聞かば波風立てぬもやはり唐突感が否めず。そのへんが答弁の限り伝わって来ぬ。そもそもに本市自慢の敬老パスとて福祉に名を借りた利用促進、間接的な財政支援になっておるばかりか、市の黒字路線ばかり譲渡を迫られては。

話を戻す。仮に「市民の足」なる公益性の視点から支出するに減便はどうか。客の減少にめげず平常運行を堅持したならば論功賞なる言い分は通るかもしれぬ。されど、会社の都合を優先しとる相手に公益性を語る資格など。ならば鉄道やタクシー会社のほうが。銭出せど口挟まぬ、こそ貰う側に好条件と知るも身銭ならぬ税金にて出す以上は。

第三波こそ大津波、息吹き返す報道に萎む経済。自衛隊の派遣要請、危急存亡の秋と報道に知るも混乱前に御当地を旅行せし特派員によれば、さもありなん、関東圏とは意識がまるで違う、一部は野放図に近い、いや、近かったと。

大したことはあるまいとの認識が拡大を招きし一因なれど、安全神話に「絶対」はなく。数日前の免許更新時の講義に交通死亡事故ゼロの日は一日もないと聞いた。だから無意味とはいわぬ。啓発あっての件数にて何もやらねば結果は推して知るべし。

ただ、今回なども啓発の意を含むにせよ、まもなく一年、予防とてそれなりに浸透を見せとる割に脅威が誇張され過ぎては逆に禍根を招きやしまいかと。乱世の奸雄と評されし曹操、やはり乱世にならねば台頭の機会なき面々もいる訳で、煽られる不安の裏には別な事情があったりも。蛇足ながら曹操は三国志の主人公の一人。

うがいに手洗い、マスク着用の効能か、例年に比べてインフルエンザの患者が「著しく」少ないと聞いた。それはそれで歓迎されることなれど、患者数の減少に病院経営が成り立たぬ、診療所が倒産なんてのはいただけぬ。治すが本分にて成功報酬は患者の笑顔位なもの。やればやるほど減る仕事、それこそが「先生」たる所以にて、政治が目配りをせねば。

医療崩壊は防がねばならぬ、一方においては連日の過剰報道に受診が抑制されて破綻の危機に瀕しておらぬかと別な心配も。迫る一般質問。質問しようにも質問権を剥奪されてとる身分にて内情を調べてくれぬかとそっと指示しており。

(令和2年12月10日/2611回)