三傑

人の一生は重き荷を負うて遠き道を行くが如し、とは家康公の遺訓とされるもレースは身軽に限る。マラソン大会の相次ぐ中止に種目をトレイルに変更して大自然に挑んでおり。

大会の必携品にずらりと並ぶ品目。1リットル以上の水に食料、コピー不可とされる保険証、迷子時の救いの笛は分かった。が、さすがに防寒シートやヘッドライトは大袈裟ではあるまいか。夏山は「油断」こそ大敵と知るも遭難時の備え以上に「検査アリ」の文字に不足品を埋めるべく。通行証といえど、あくまでも「証拠」に過ぎず、百均を物色するに侮れぬ品揃え。大師のせき止め飴なんてのも。

「フード付きレインウエア」の備考欄に「ジャケット、完全防水、透湿機能を持ち、縫い目をシームテープで防水加工してあるもの」との記述が目に入らなかったといえばうそになり。山を侮るなかれと廉価の雨具は不適格の烙印。ならばとアウトドアメーカーのロゴ入りの一枚を提示すれば「完全防水の素材にあらず」と譲らぬ相手。

安からぬ出走料にそれまでの日々が水泡に帰しかねぬと途方に暮れるに示されるはあちら。そこには大会の協賛企業の出店があって地獄の沙汰も銭次第、足元を見透かすとは言わぬまでも「いい」値段が付されており。どこぞの自治体の入札の参加資格ぢゃあるまいに。

輪をかけて「大会当日一か月以上前に新型コロナ接触確認アプリをインストールし、三十日以上継続して日常的に使用しているスマートフォン」と見ればお手上げに近く。んなことに夢中とあらば本来の仕事も疎かになるのも頷けて。

さて、定例会を目前に常任委員会が本格化。目下、質疑の大半がこの御仁で占められており。何も委員会は一人のものにあらず独壇場はいかがなものか、他への気遣いが足りぬ、との評はひとまず横に置く。歯に衣着せぬ上から目線の追及は時に自己陶酔に浸っておるまいか、さぞ気分も、と眺めるは外野席の私くらいなもんで。

当事者にとっては拷問に近く、会議録にも残る公の場で若造に罵倒されるなど屈辱。積年の恨み晴らさんと闇討ちにでも遭いはせぬか、と余計な心配をしてみるも。声デカき人物に悪人なし、腹に一物なく球種とて直球しかないのだからコースさえ読めれば十分に打ち返せると思うのだけれども当事者側の予習が足りぬ。

いや、何も隣家のことを聞いとるものでもなく、当人の所管のことなのだからその程度のことを知らずにどうすると。何よりもその質問力以上に予め資料に隈なく目を通し、前年の質疑経過を踏まえて委員会に臨むその姿勢と仕事への意欲に自らを反省しつつ。

そうそう、検索ページで「川崎市議会」と入力した際に表示される検索上位にI君を含む三名が並ぶとか。時に急浮上する御仁もいるものの一過性にて。あくまでも検索される頻度が多いってだけの話なれど、話題に上がってなんぼの世界、悪名は無名に勝る。「三傑」と命名するに「ファッションリーダー」を越えられるか。

また、今日もくだらん話題を提供してしまい。

(令和3年8月30日/2662回)