平均

もはや隠居の身にてこれ以上の醜態を晒す訳には参らぬ、と拒んだつもりが、「またも」相手の術中に陥り。波紋広げぬ程度に、と念押せど、気付いた時は目的達成とばかりに録音機を持ち帰られてしまい。隣市の次に迫りくるおらが市長選に向けて聞かれる現職の評価の「続き」。

前回は在任中の記者会見だったナ。ホメれば相手に媚びとるようで、こちらの資質を疑われそうであるし、貶さば自らを棚に上げて陰口を叩いとるように見えなくもなく。良心の呵責に苛まれるは善人の証、無言を貫くが最善と知るも虚実皮肉というかその紙一重の微妙な間にこそ。

で、演題はもちろん「風通し」。不都合な事実を伏せんとする心理は分からんでもなく、上司が癇癪持ちとあらば尚更のこと。それが課・部・局と幾重にもなるに、途中、一段でも躓かば頂上には到達せぬ情報。己の不徳か相手の作為か。職員の顔色を見とれば心中はおよそ透けて見えるものにて少なくとも最後の一段は云々と申し上げて。物議を醸す見出しが踊らぬことを願っており。

そう、最近など在宅医療チームの創設は救急搬送の困難事例や自宅療養者の症状悪化の報道への反応であろうし、ワクチン接種における妊娠中の方への優先枠の確保、も同じ。機を見るに疎からず、迅速に手を尽くさんとの姿勢は窺い知れて。あとはちゃんと動くか。そこが最も肝心なところなれど。

さて、秘書おらぬ一兵卒の身、質問原稿を手がけよ、との命に頁をめくるは市の事務事業の評価。目標とその達成度に「感想」を述べるは市議の役割にあらず。曲がりになりもソレでメシを食っとる以上は役人に「ふむ」と気付かせる見識を披歴せねばならぬ。多岐にわたる目標の一つに市のホームページの閲覧回数があって。

目標は否定せぬ、が、その先に利用者が求めている情報は何か、目的の情報に辿り着くまでに不自由はないか、という「一歩先」の視点を有しておればホームページの作りも些か改善されはせぬか。とにかく情報を公開することに主眼が置かれる隷属的な意識ではいかん、と。

そう、一歩先の視点といえば、二年ぶりに実施された全国学力テストの結果。休校措置による低下は見られぬとの分析。「全て」の教科において全国平均を上回る結果に公教育の成果と胸を張るもあくまでも「平均」の話。区別、学校別、更に申さば生徒間の格差が見えぬ。

そして、あくまでもその選択は「任意」ながら今や相当数が通うとされる学習塾。その及ぼす影響は無視できぬはず。特に首都圏なんぞはあの駅前の看板見れば。受験を目標とするは公教育と相容れぬ、と拒絶してみるも現実を見れば保護者の関心はそちらに向いとる訳で。何もそちらに肩入れせよとは言わぬ。が、その実態位は把握して損はあるまいに。

受験を目的に集う生徒の在籍校は様々にてそこに交わされる情報、当該校の様子や習熟度などむしろ教育委員会以上に詳しかったりもして。公教育の意義やそれのみにあらずと知るも、あちら栄えてこちらが滅ぶ、とは言い過ぎか。ゆでがえるにならぬよう向上心だけは。

(令和3年9月5日/2663回)