大入
そちらは未だ不勉強にて玉の大小と味の相関や知らず。いただいた秋の味覚に「産地聞くずしりと重き梨一個」と句を添えて御礼のメールを送らば、上五を「産直の」としてはどうか、と返事をいただいた。秋の俳句大会への投句を依頼されて協力しただけなのだけれども御主人が手土産に持参された一個が大変立派なものにて。
役職への遠慮が取れてか、久々にE子さんからも着信があった。老人会の運動会が中止との連絡なれど、御立腹の理由はそれに要した時間。会場の使用許可が下りぬというのだから結論はそれ以外にないはずもアレコレと理屈こねるに下せぬ決断。性別への侮辱とばかりに辞任に追い込まれた御仁がおられたが、オトコのほうがよほど、と。
いや、そりゃ性差以上に年齢、更に申さば日々の話し相手の有無こそが災いしておるまいか。とするとやはり人に恵まれるというのが人生の秘訣であって、その為にも「段差」は低いに限る。この前なんぞはひょんなところで背後からの呼び声に振り向けば当時の補佐役M局長。互いに役職を離れた身にて知らぬ間柄を演じてもよさそうなもんなれど声かけられるに悪い気はせず。
そして、もう一人。そこまで卑下するスコアにあらずもクラブが合っていない、と相手。が、原因を道具に求めては上達なし。数年前にちゃんと計測の上、安からぬ一式を購入したはず、と反論してみるも。相手の干渉を好まぬこの御時世にあって他人の為に一肌脱がんとする「おひとよし」は稀有にて当人の好意や銭では買えぬ。と任せて届く請求書。悔いてはならぬと笑顔で。泣。
資産報告にゴルフ会員券と欄がある位だからそちらの代名詞と世に認知されとるのだろうけど、その手の偏見に遭わぬかといえばウソになり。そのへんの段差が相手を躊躇させる一因もそこに生まれる関係は得がたい財産。御年配を相手にこんど「ラン」でもなどとは誘えんでしょうに。で、ようやく本題。
何を隠そう本市には「市立」の川崎国際生田緑地ゴルフ場があって、その為の特別会計もちゃんと。当時など支配人は市の天下り、いや再就職組にて料金こそ「特別」にならぬまでも予約は便宜を図ってくれて。現在は指定管理者。多摩丘陵の桝形山の自然を生かしたコースは戦略性に富み、小さいグリーンに深いバンカーという設計者の思想が云々と紹介されるも一言で申さば「初心者には不向き」ということ。
利用料金、いわゆるプレー代とて安からずもほぼ大入に近く、そのおよそ六割を占めるは市外客とか。「市立」なのだから市民優先枠を設けるべきとの声あれど観光収入と見ればどうか。大雑把ながら一般会計への繰出が年間三億円、うち二億円は生田緑地全体の保全等に利用される、と教わった記憶あり。市の事業の中でも優等生。
優先枠などと言わずにむしろ子供たちの為に優遇を図ってはどうかと。その生い立ちと歴史に段差があって然るべきも折角の可能性の芽を摘むに惜しくはあるまいか。まさに教育がそうであるように、結果の前にまずは機会を広く。
(令和3年9月10日/2664回)
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