右隣

選択肢は三つ、採択か、不採択か、継続か。

あの陳情を「不採択」とした理由を述べよ、と現職の議長殿から。そりゃフツーに考えて最も都合よきは「ケイゾク」、何と申しても白黒をつけぬゆえそれぞれに勝手な解釈が成り立つ訳で。数少ない不都合の一つは「残る」ことで本会議における発言が制約される、ならば、その規則こそが見直されるべきではあるまいか、と記者会見にて詰め寄られた一幕があったそうで。

議会宛の陳情は内容が吟味された上、各常任委員会に付託、つまりは一任されての審査。本会議の自由が許されるならば委員会における審査が形骸化しかねぬばかりか、「全」議員が出席する本会議では収拾がつかぬ、とか。いや、それ以上に「現在、委員会にて継続中の事案にてこれ以上の答弁は差し控える」、なんて、こちらの舌鋒を封じんとする役人側の陰謀もあったりして。

さて、肝心の陳情の内容や、公立図書館へ指定管理者制度を導入せんとするに「十分」な説明が果たされておらず、より「丁寧」な説明を求める、とのもの。その道の常連ゆえ互いに相手の手の内を知るもの同士。この間、相手方の依頼に応じて随分と市との仲介を果たせども、制度そのものに反対、妥協の余地なし、とあらば数重ねれど平行線のまま。ならばいっそ「民間の介入は断固反対、直営堅持を求める陳情」とでもすれば。

が、それではあの会派以外の賛同を得られぬと知ってか、不変の価値観を。丁寧か否か、十分か否か、は主観を伴うものだけに反対しずらかろう、ましてや陳情者が傍聴しとるとあらば尚更で。不都合な結論といえども誰かが告げねばならぬ、右隣には「幹事長」なる立派な肩書を有した御仁がいるのだけれども口すらきけぬ。さりとて左の期下に押しつけるのも酷か。ということで損な役回りにまたもや票を。

肩落とし部屋に戻らんとして背後からS君が一言。本会議での解禁を理由として相手の意に反した結論を告げた以上はそれに勝る成果を、と。よくぞ申した、確かに「その後」が肝心。ということで、陳情者の意を酌むべく質問を推敲しており。そこは手伝ってくれんのか。

最近の話。架空発注に利ザヤを狙いし裏金が云々と時代錯誤の不祥事が発覚。犯行に隠蔽を図らんとした罪は厳しく追及されて然るべきも私が問わんとするは「その後」。ある日の夕刻に局の幹部から委員長に連絡あり、翌朝一番に報告、その後の委員会に項目を追加、それも順序を入れ替えて午前中、と。

随分と性急すぎやせぬか、との委員長に対して、当日の午後に記者会見が予定されている、と。そりゃ、あくまでもおぬしらの勝手な都合であって、記事になりそうだからその前に報告を、なんてのは、もはや処分云々の前に組織そのものが末期症状に近く。委員長に対してそんな非礼があるかっ。

一介の職員からの依頼に応じて話を聞いたのは一ヶ月以上も前の話。ガサが入ったというに何とか逃れんと往生際が悪き管理職の面々。こちとて自供を迫った、というよりも「断じて口外はならぬ」との厳命に生じる良心の呵責。あの時も現場の悩みを熱心に聞き入っておられた委員長。自首にかすかな期待をかけるもそんな形で露呈しては。

(令和4年9月5日/2732回)