場外

連絡後すぐに現場に駆けつけてくれたものの、その後の沙汰なく、迫る美化活動までには何とか、との依頼。そう、公園の除草の話。

陳情とて日に一つにあらず、現場には現場の事情があると察するが大人ってもんで、まいど叱責、矢の督促では現場の意欲も萎えかねず、下手に騒ぐは小人か。陳情者を宥めつつ、現場には「低姿勢」で懇願するが仕事の秘訣。

「状況の確認後に改めて報告を」との管理職に対して、「万が一、頓挫しそうな時だけで結構」と告げて迎えた翌日にはきれいに刈られていたそうで。事務所宛に本人から喜びの声が寄せられ。市議の介入の成果と見る依頼主。

現場への迅速な指示は事実なれど、ちょうど対応せんとした矢先、偶然の産物かも、と謙遜してみせれば、運も実力のうち、と事務員。何よりもそんな話こそ多くの人を経由して伝わるに限る、か。

駅前の一等地、施錠なき出入口に「無料」と知らば。適正利用を呼びかけるに配置されるは整理員。シルバー人材センターへの委託にて退職後のささやかな小遣い稼ぎ、いや、生き甲斐になっとるはずで。そこに「いる」だけで生まれる抑止効果。フツーの人であれば多少なりとも負い目があって然るべきも全く意に介せぬ確信犯も少なくないとか。

区役所に併設されし駐輪場。通勤や通学に「終日」の無断利用。早朝に深夜とあらば整理員の不在の目をかいくぐり。「警告」貼れどもどこ吹く風の面々に強制撤去と申しても撤去や保管に要する費用とて安からず。ならば「いる」時間帯はどうか。

大胆不敵にも買い物袋を提げて取りに来るオバサンに注意を促すべきか否か。別な用途と思しき相手に行先を尋ねるは駅頭に近づく有権者に宗派を問うが如き心境か。聞かれた側とて実際の利用とあらば不正を疑われとるようであるし、逆とて一抹の罪悪感に「ついで」などとシラを切って下さればまだましなほうらしく。

下手に受け止めて「この雇われの分際で生意気だ」などと不正を注意した側が被害を被るはバイト代に見合わぬ。そもそもに相手方とて、んな目を日々気にして利用する位ならばいっそ「有料」を選ぶが利口に見えなくもなく。苦悶の日々に世の規範の低下を嘆く整理員Sさんの立ち話に。

景観百選などと申しても階段を一つ下りれば散らかるゴミに目立つタバコのポイ捨て。重点区域との一方的な宣告に隅に追いやられる喫煙者。あんな狭い空間に押し込められて歩行者から怪訝そうな視線を向けられるは些か不憫に見えなくもないが、「場外」にあふれる状況が常態化しているとか。そう、新百合ヶ丘駅南口のデッキ下の喫煙所。

通行人が口を挟むに相手の恨み買いかねず、巡回員とて駐輪場の整理員に同じ。んな時に頼りになるのはやはり「彼ら」。都合よく目の前に交番あれども根拠法令は「市」の条例とあって。割れ窓理論に見るまでもなく放置すれば更なる悪化を招きかねず。

規範の徹底求める声に重い腰を上げんと決算審査特別委員会にて発言の通告をすれども路上喫煙を巡る陳情が「継続」の扱いだそうで。それにしても一部の規範意識の欠如が全体の印象を損ねるとは何とも惜しく。

(令和4年9月20日/2735回)