突貫

訃報知るに遅く、追悼と手にした一冊に「富士桜CC」と見かけ。多くの「女性初」を重ねた政界のスーパー・レディの背景にはやはり。

上達の条件や以下三つ。経済的余裕、たっぷりの時間、そして、センスのいい運動神経。仮に前二つに恵まれずとも、最後さえあれば、との格言を信じて今日も。さすがに平日は学校、だそうで父君自ら相手をして下さると同伴をいただいた。

目は足下に釘付けにて気づかぬ周囲。ふと、気づくは知らぬ間にこちらに向けられるスマホ。「ブルータス、おまえもか」と叫ばんとして。んなカッコ悪いスイングで飛距離が出るわけなかろうに、と父君。秋空に打てども伸びぬ新ボール。疑って悪かった。

さて、本題。先輩からの着信とあらばソレを期待するのが当然で。何か旨いもんでも。詳細は前回の私の質疑に云々、と聞いて取り寄せる会議録。閑静な住宅街に突如として始まりし工事。それも新たに開設される保育園となれば近隣への説明会、ならずと告知は必要なはず。

他の郵便物と一緒にゴミ箱に捨ててしまわれたのでは、との業者の言い分に質が見えて。立証責任は申し立て側にあるというのは。狭い道路を占拠する車両。深夜、早朝に止まぬ工事音。軟弱地盤の改良に手こずる業者。過去二回の延期に三度目の正直を期待すれども。素人目にも「突貫」と一目で分かる外観。よく許可したな、と近隣の陳情者。

そこに少なからぬ補助金が投じられる以上は、許可を下ろすべきにあらず、との訴えも、そちらの部門が有するはあくまでも開設、つまりは、園児に対する床面積、給食室の有無、保育士の確保、等々。建物の基準適合を担うは別部門。

それとて、昨今なんぞは民間の業者が点検して「適合」の可否を判断、役所は書類を受理するだけのこととて少なからず。役所の独占は解せぬとの風潮に門戸がこじ開けられた結果なれど、信用ならぬと都度に再点検では開放した意味薄く、ならばハナから。

当時、入園できねば働けぬ、と急増する需要、それこそが自治体の評価を左右するといわんばかりの論調に。用意されし潤沢な財源に群がる法人や玉石混淆。まずは目標達成ありきにて猫も杓子も。そんなツケか。

募集か完成か。前者を優先するあまり「突貫」になる位ならば保護者に詫びて募集を遅らせるとか。かたや法人側の怠慢にて工事が進まぬというのであれば違約と迫るが当然の役目。今にして騒動になるところ見るにやはり工事は別、と完成を「前提」に事を進めていたことにも一因がありそうで。

いづれが原因にせよ近隣とのいさかいを抱えていては。通わせんとする保護者とて不安であろうし、そこで子供に向き合う罪なき保育士たちの胸中とて複雑に違いなく。以降、共存せねばならぬ以上、関係が改善されることを。

私の地元ならばまだしも隣区とあらば、やはり先輩自ら、違うか。

(令和4年10月30日/2743回)