常連

他陣営に負けぬよう一枚でも多く、とは若さの証拠。かつては私もそうだった。が、今や量より質。思わぬ所、というのが狙い目か。目立ってよし、話題に上がってよし。あんなところに、なんてほうが。小田急線の新宿方面、生田駅を過ぎて左手の踏切手前の外壁に目立つ一枚。あんな「古びた」ポスターでは。

逆を申さばそこに目新しき一枚が貼られれば余計に目立つ。ましてや通勤客の中にはこちらの有権者もいる訳で。いや、他にいれば譲るよ、というか、許可する、せぬは、家主の判断。何と申しても「元」常連だから。雀荘「大三元」、マスターありがとう。

物怖じせぬは先天か否か。小心といえど場数踏まば。ゆえに、んな場面に遭遇しても不運と嘆くことなかれ。朝ラン帰りにホテルの玄関前で背後から。氏名呼ばれて振り向くにカメラ三台。しかも海外。視察途中の蛮行を狙わんと尾行する最中に私のコピペ疑惑が浮上して。

これしきでは「画」にならぬとの判断か、「ボツ」にされどもこちらには銭で買えぬ貴重な経験。記者からの取材と聞いて喜び立つ物好きなど。

追われる面々が集うは会派の控室。本当に不在もあれば居留守とて。夜討ち朝駆けの攻勢に事務員も疲労隠せず。逃げんとするから追っかけてくるのであって。「誰も応じぬならば私が」と。

久々の会議に集いしは後援会の役員の面々。んな時に限って。こちとてそれと知らば取りはせぬ。遅刻もしくは欠席告げる一報かと受話器取らば、「記者ですが」と。賑やかな後ろの声に紛れて、「い、いや、今は本人、会議中にて」と一オクターブ高く。

「また後ほどおかけ直しを」と切らんとすれば「何時に終わるのか」と相手。「当分終わらぬ」と返答すれば「どうすれば本人と話が出来るか」と執拗に食い下がる相手。「携帯の番号を教えるゆえあとは明日以降に」と受話器を置いた。

そうそう、肝心の内容。いつぞやに国に対して提出した意見書。我が国の伝統的な価値観を広く浸透させんとの趣旨なれど同様の内容が各地で出される背後に件の組織による関与が、と相手。本市議会における提案者が私。つまりは会議録には私の名があって疑われる関係性。

意見書の提出には会派内の合意が前提なれど、意見書やその一本のみにあらず。「たまたま」団長として机上に置かれた原稿を「読み上げた」までのこと。出所までは覚えておらぬが、いづれにせよ私が提案者である以上、何かあれば私にも。「完落ち」という以上にその後も延々と続く独演会。しびれきらしてか、「その内容を再度カメラの前で」との衝撃の一言に、「い、いや、それは」。

偽りなき証言なれども、んなみっともないこと公にできるか。よく役職が務まったな、んな無責任な話があるか、って批判が殺到するは火を見るより明らか。「んな事情を御推察されたし」と返さば、「私の一存では判断がつかぬ、ともするともう一回の出演依頼をするやもしれぬ」と牽制されて。

「再び鳴らぬことを願う」といなしてみたものの、ほんとに鳴らぬは些か寂しくも。露出多きは有利に動く。出演すればもそっと話題に。あの独白が録音されていないことを願うばかり、か。

(令和4年11月20日/2747回)