後光

数え年六歳の背後に見えし後光。この子を妻にした男は必ず出世して一生安楽に暮らせるゆえ大切に育てるように、と通りすがりの虚無僧が告げて立ち去った、と。後光の力か実力か、功なり名遂げし亭主の名は一三。そう、阪急総帥にして宝塚歌劇団の生みの親、小林一三その人。星組公演「ディミトリ」がすごく良かった、じゃなくて、舞台裏に立役者あり、って話を。

連絡後、担当者が現地にて親身に応じて下さったのだけれども担当の判断としては限界、そこで貴殿に、と御婦人。近所の認知症高齢者が外出すれども自宅に戻れぬ。徘徊の末に辿り着くは記憶に残るその御宅。在宅ならば数十米先まで手をひいて送り届けるも、不在時などは御自宅前の交差点にて立ち往生。ゆるい下りカーブに視界が狭く、そこに注意喚起の看板を。

昨今はその手の陳情に道路公園センターの職員が自ら看板の製作から手がけており。看板の設置など町内会に、と押し返さぬ姿勢が「いいね」にあるまいか。対応に粗相あらばまだしも「親身」に応じた結論に口を挟むは何とも勝手な職業と知れど。

数日後には所長から直々に着信があって。受話器越しでは申し上げにくく、と聞くに万策尽きたと見るが妥当。その間の悪戦苦闘ぶりに謝辞申し上げるつもりが。呼び出した理由は電話では説明に時間を要する為。百聞は一見に如かず、図面と写真を見ながら、ということらしく。この間の経緯を聞くにやはり依頼主に寄り添わんと知恵を絞る様子が窺い知れて。市議の仕事の背後に現場あり。彼らこそが陰の功労者であって。

それだけ生徒たちがいれば。窓ガラス割れるは元気な証。生徒たちが寒風に晒されるは見るに忍びず、一刻も早く、とは親心なれど、煩雑な手続きに申請を終えても。ようやく届いた返事が予算足りなく来年度に、なんて。当該校の先生が業者と調整の上、本庁に申請、その件数や年間一千以上。

必須とされるは現場の写真に相見積。前者は分かる、が、後者など誰しもが「偽装」と知る訳で。むしろそこに生じる「借り」こそが癒着の温床と分からぬか。添えられるべき三者の見積が二者だった、というけれども他と著しく乖離しておらねば何もそこまで。

一件の工事として発注すべきを複数に分割、極めて悪質などと断罪されるも。その金額を超えるものは設計の専門家を有する他局の指示を仰ぎ、そちらの予算化を伴う為、完了までに二年以上を有する、と聞かば誰しも。見るに不憫な現場の混乱を解消せんとの親心か、はたまた、市の不祥事を暴かんとの正義感か、数年前の住民監査請求に明るみになりし実態。

ということで、そのへんを全て「民」に委ねれば煩わしさが解消されるとばかりに新たな手法を採用するそうで。包括管理委託なる名称。学校側における工事業者との連絡調整や申請等が不要になるほか、委託業者の巡回点検にて判明した軽微な不具合など迅速に対応が可能とされ。少しでも改善が図れれば、と期待を寄せつつも成果や未知数。もっと現場に。

(令和5年1月30日/2761回)