九割

依頼する側、される側。「する」側が訪ねるがスジなれど。陳情は来るが当然などと待ち構えていては。移動は苦にならぬばかりか「待つ」は性に合わず、相手の手間を減らさんとの純粋な善意であって、たとえ相手が役人であろうと。

されど、向こうにすれば市議を相手に「出向く」が原則。行く来るに双方譲らぬは何かしら。こちらや依頼側にて向こうに要望を聞いて、いや、「呑んで」貰わねばならぬ。彼らとて人の子、誠意を見せるにきっと、との淡い期待。

対するあちらや、ただでさえ厄介な存在、どうせろくな相談になく、無理難題に難色を示さば部下の前で叱責されかねぬ、ならばいっそ敵陣に、あたりがホンネか。

数ある報告を受ける中にあって本題以上に関心寄せるは職場の動向。陰鬱な職場ではろくな仕事は出来ぬ。明るくするに女子率を上げよと、とはかねて申してきたことなれど、新年度を迎えてその部署や女子率九割と聞くに。

管理職における女子率の低さが話題に上がるも、どこぞが如く当選回数に派閥の力学が幅を利かせては目的を見失いかねず、あくまでもその役職が適任か否か、性別を理由に登用されるは恥と知るべし。

対立する利害の調整を負わされるに、いつしか覆る役所の評価。地元の動乱を見事に平定した当時よりその手腕には一目を置いていたのだけれども当の本人が九割の現場監督に抜擢され。来訪を拒まぬは職場への自負か。祝意を伝えんと訪ねるに全体が「明るく」。

そう、当選同期のM君が新たに結成された会派の団長に就任されたとか。心境や知らぬ。が、こちらも女子率高いばかりか、九割が新人とあって。群れには向かぬはずなれど、まぁその程度のことでへこたれるようでは。

合理的に云々とのドラマが放映中とか。投票前に公報が届かぬは役所の怠慢とばかり苦情寄せられ。原稿の〆切が告示日の夕刻、校正に印刷、翌朝までには全戸配布を終えよ、とは合理的にありえぬ、いや、「物理的」に困難、か。

実際の投票日までには猶予あれども告示の翌日には期日前投票が開始され、四人に一人が投票日を前に終えとる訳で。不可能と知るに正直に辞退する業者もある位だから自ずとつり上がる落札額。無理を通す以上はそれなりの見返りが、なんて。

投票用紙とあらば一大事なれど、届かぬはあくまでも公報。そもそもに内容は候補者に委ねられ誹謗中傷に虚偽さえなくば。あくまでも判断材料の「一つ」であることは否定せぬ。情報の氾濫する時代にあっても絶対に欠かせぬ、との方々には特別に郵送する手立ても。

とすると、多額の税を投入する割に効果はどうか、との指摘であればまだしも、届かぬは解せぬ、だけでは真意が見えぬ。ならば、いっそ、そのものを、などと次の一手を示そうものなら知る権利云々と。現行、一寸たりともミスは許さぬとなるとそこには別な意図がありはせぬか、と勘繰ってみたくもなり。

(令和5年5月15日/2781回)