花壇

週一回のボウリングに集う昔の仲間。終了後、酒を片手に雑談に興じる中にあって、会場を後にする一人。彼らとて帰るに帰れぬ家の事情、やはり仕事があるというのは恵まれているよ、と和菓子屋の店主。

何故に退職後の君らの相手をせねばいかんのか、いや、それは向こうとて同じ、おぬしの顔なんぞ二度と。さりとて、発起人の誘いを無碍にも出来ず。

当日の主役や隣市の元局長。私の議長時代の話にて本来ならばとうの昔に退職となるべき年齢ながら請われての留任。つまりは定年後の肩書も「局長」のまま。給与こそ減額されたものの、見事に職責を全うされて。異例中の異例の人事が物語る資質。対するは。

定年後の働き口があるだけでも。退職前の肩書が局長級ともあらばヒラとはいかず、用意されるは上級職。向こうに待ち受けるや「正規」採用の面々。そこに見ず知らずのオッサンが理事長として「天下る」以上は下への気遣い忘れずに、と送り出して、はや二年。

花壇の水やり、の目撃談が寄せられ。んな「窓際」で俸禄を貰うなんぞは言語道断。法人の理事長たるもの双肩に職員の生活を背負うと心得よ、家族を路頭に迷わせることなく汗をかくべし、と老婆心ながら。

そう、「第一」委員会にて報告を受けるは退職後の再就職の状況。およそ受け皿となるは市の出資法人にて、そちらに転出するが大半を占めたはずも今や定年延長が後押ししてか残留多し、と。残留か転出か、そこは抜かりなき役人の世界、給与面に差異はないはずも。

残留に付与される「課長補佐」に対して、転出は「理事長」もしくは。されど、出資法人など行革の対象になりかねず、明日の存続すらままならぬ。ならば恥を忍んででも倒産の心配なき職場を選ばん、なんて。

さりとて、昨日まで部下を顎で使っていた御仁の腰が急に低くなるはずもなく。んな人物に隣りに座られては若手とて落ち着かぬ。霞が関とて一人減り二人減り最後に残りし同期一人が次官となりし慣例に見る役人の知恵。老兵は去りゆくが。閑話休題。

ポイント付与に群がるは人の勝手なれど、それが公の身分証とあらば話は別。普及の狙いとて否定はせぬ。が、普及率を高めんが為にニンジンぶら下げるは御上の姿勢としていかがなものか。あくまでも「任意」とされた方針が一転。以降は使えぬ、と退路を断たれては。

泣く子と地頭には逆らえず、いづれ更新するならば逃す手はない、と子に急かされて。窓口に行かずとも申請が可能と知れど、操作には不慣れにて子に言われるがままに。寝巻姿の寝ぼけた顔で本当に免許証が如く公な証明書になるのだろうか、と抱きし不安もポイント欲しさに。セコかった。

が、そんなシステムを巡る混乱は国のみにあらず。本来、徴収すべきが徴収されぬ、いや、徴収してはならぬものが徴収されて返還を、との事務ミスが少なからず。発覚の経緯を見るに相手からの通報に起因すること多く、他にないかとの再点検とお詫び行脚に動員される人件費こそ。安物買いの銭失い、もそっと慎重に。

(令和5年6月15日/2787回)