余剰

北九州市にて学ぶは連続立体交差事業。線路の高架もしくは埋設により道路と一体的な整備を進めんとするものであって、主に渋滞や開かずの踏切の解消等に活用されること多く。目下、本市においてもJR南武線の武蔵小杉駅以南にて。

そう、あの当時、あざみ野から新百合ヶ丘への地下鉄の延伸を図らんとするに全市的な意義はどうか、などと。一方、本市としては南武線の高架化こそ優先とされるも実現するには一部の地域が残る横浜市の協力が不可欠とされ。ならば、相互協力の下に両方の実現を図らんと協定結ばれ。

九州の大動脈といえば今や新幹線なれど当時は。門司港駅と鹿児島駅を結ぶはこのへんでいう東海道線のようなもの。小倉駅や博多駅を含む北部エリアを東西に走る鹿児島本線と南北繋ぐ筑豊線。また、その名の通り両線を短く結ぶ短絡線が交錯する折尾駅周辺において計画が浮上、完成までに要した歳月は二十年。

その白眉たるや従来の経路を大胆に見直すことで用地買収の手間を減らす、つまりは実現までの工期短縮とともに事業費の大幅な縮小を実現。当初は一千億円以上とされた額も半分以下に。

既存路線の運行を妨げぬままに移行を図らんとするに必要とされる用地。本線の左右には絶妙な余剰あるが幸い、並行して新たな線路を設け、そこを活用して。対するは本市。足りぬは線路脇のほんの数米なれどその対象世帯数や。「余剰」の有無が分ける明暗。いっそ大胆な発想の下に。

(令和5年8月12日/2798回)