淀君

公開迫るはあの続編。当人の出演こそないものの、かつて、浦和の淀君と畏怖された御仁の相手を務めており。この前なんぞ急に何を言い出すかと思えば、恋人になってくれ、と迫られ。恋人と申しても「食」の恋人、と本人。求愛の証と届くは洋梨の希少品種。ぜひ、試食あれ、と。

何も希少のみが旨いとは限らず。ボーイスカウトの収穫祭にて母親らが作る具沢山の豚汁を青空の下。御礼とばかりに一句、さつま芋掘り尽くしても遊ぶ子ら。野原を元気に走り回る光景が少なくなったナ。

退職二十年にして未だ古巣からの誘い、それも技術畑から。どこの会社とて営業と技術は水と油。何とも光栄な話なれど、聞かば当時の本部長が「末期」。抗がん剤の投与に制限される外出。そんな御仁の相手をするに手を貸せ、と。来るも拒むも自己責任、来る以上は甘やかさぬに限る、と伝えて迎えし当日。

一年前の手術の際なんぞは金属性のステントを埋め込むと聞いて、んなものを埋め込んだら放射線治療に支障をきたすにあるまいか、少なくとも患者がのぞみを捨てておらぬ以上はその処置はなかろう、殺す気か、と医師に迫った。などと誇らしげに語られてもそりゃ匹夫の勇としか。

いや、実際に副作用と思しき症状を見て取るに、もうぼちぼち、と帰宅促せども帰る気配なく、タクシーとて拒否するばかりか、行きつけのバーで続きを、と。店の立地するはビルの四階。階段を先陣をきって。ほんとに末期なのかね。

閑話休題。クラブの買い替え前に、もそっと腕を、と折角の太客をあしらいしあの店主。人づてに聞くに、その後、各方面を探していただいて私に合う一式が用意されているとか。勿論、中古。それも他人の使い古し、ほんとの「おさがり」ってやつで。いやいや、それで十分。職人に仕立てて貰ったってことが肝心な訳で。何も新品にあらずとも。

ただでさえゴルフ用品は割高になりやすく。中古市場の流通が機能するは裾野を広げるに一役。プレー代とて安からず、土日よりは平日、名門よりはパブリック、道具とて。と節約に余念なく。いや、「高額」とて結構、ただ、それぞれの身の丈に合った愉しみ方を。

市の予算編成が大詰め。夏、秋の査定を終えるに上層部の悩みの種とは。今年度は一年、来年度は二年、以降は最大五年まで定年の延長が可能となり。残留か移籍か、移籍と申しても請われて移るものになく。世にいう天下りとの批判に設けられるは給与の上限枠。これが本当に低く抑えられ。

ならば現役のウン割が保証される残留のほうが、と後者に軍配上がりそうな気配も、何せ彼ら居場所を確保せねばならず。肩書こそ課長補佐と決まれども実際に「補佐」としてそこに座られても、というのがホンネらしく。ならば、いっそ窓際部でも。いや、それでは税金泥棒のそしり免れず。「中古」とは失礼ながらそちらの流通やいかに。

(令和5年11月20日/2818回)