失笑

「インパクトの瞬間はこうで。クラブを走らせる」などと言われても。そもそもに金属のクラブが「走る」なんて物理的に。さりとて、離れぬ一言。反芻して再現せんとするに。勿論、クラブなど持ち合わせるはずもなく。手ぶらで腰、肩に手が不自然に動くは変人にしか見えず。横断歩道の向こうから来た御婦人の失笑を。もはや末期、か。

スマホの着信に表示されるは役所の番号。この前の件ですが、かくかくしかじかにて。と相手。ふむふむ、それで結構、あとは当事者に、と告げるに。えっ、あなたがその当事者では。いや、私は紹介者の市議、あくまで仲介。申し訳ない、と詫びに詫びる担当。

当初の話しっぷりに違和感がなかった、といえばウソになるが、過去を補って余りある解決案に。いや、非礼詫びずと結構、それで十分。相手に提示して万一に紛糾することあれば後は私が、と受話器を置いた。期せずして垣間見る現場の対応はすごく良かった。

大抜擢の大臣。我こそは改革者なり、と矢継ぎ早の指示も的を得ず。上の指示に従うが組織。ましてや役所とあらば。役人側とて少なくともそちらの分野では一日の長あり。外から土足で踏み込んで、国家国民の為というよりも自らの功名心が勝っては。

話すに知性の薄さが透けて見え。本人は優越感に浸れども自己陶酔に過ぎず。役人を御したつもりが、単に抑圧なだけで。振り回されるに下が疲弊して募る鬱憤。世に目立たんという御仁少なからず。世間ではもてはやされとるけど内の評価は正反対。外づらだけは、とは国の役人の話。

国政と違い、大臣が如く直接にその指揮系統に君臨するものになくも、下手な干渉はかえって事態を複雑化しておりはせぬか、というのが今日の本題。政策云々以上に人を使えぬ、人材を生かし切れていないばかりか、職場に漂う焦燥感は何とも。いや、むしろ、政治が介入し過ぎての弊害のほうが。

いつぞやの政治主導が好例。役人に任せてはおれぬ、と熱意を燃やすは結構なれど、空回りするはかえって。なまじ知恵があると余計に厄介。全て掌握しないと気が済まず、仔細の報告を求めれど、それで何か画期的な打開策でも、いや、あくまでも自己満足で。自己顕示欲が勝るは幼少期の境遇に負うところ少なからず、とか。

バカが権力を握るほど怖いものなし、とはよく言ったもので。上のみならず途中の管理職がダメだと見るも悲惨な結果を招きかねず。面従腹背ならまだしも、器量に欠けると本当に言われるがままに遂行してしまうから。いや、んな器にないこと位は分かっとる。ゆえに人を使うのであって、むしろ任せたほうが上手くいくばかりか、本人とて別に目が向けられる訳で。

そう、スウィングとて力む部位に力まぬ部位。それも全て連動せねば飛距離は出ぬもの。どれだけ腕力に秀でたとしても。カール・マルクスの理想郷とてあくまでも「全て」が連動しての話。上手くかみ合わなければいいスコアは出ず。それは組織も同じで。

(令和5年12月5日/2821回)