色々

さんままつりの当日に届くは金銭のみならず。「皆様で」と持参いただいた手製の漬物。まずは試食とほおばりし最初の一口に旨さ知るも周囲に気を取られては。帰宅後に人目憚らず食した味が格別。

凝視するに細かく刻まれし昆布あり。秘伝のレシピを会得せんと訪ねるに、迎えて下さるは齢九十を過ぎし母君。意図を告げるに「あれはね」と逡巡の後、発せられる一言や、「色々」。「内緒」といわば角が立ち。いや、ほんとに旨かった。

役職に与えられし別室はいつも開けっぴろげ。そのへんに当人の性格が見て取れて。突然の訪問にも嫌な顔一つ見せずに応対いただくばかりか、その後とて抜かりなく。いつぞやなんぞ、私の来訪中に鳴るは机上の電話。直通とは急用に違いなく、「こちらに構わずに」と応答を促すに、「市議のセンセイ以上に優先すべきことなど、どうせ」と億劫そうに受話器を上げ。

「えっ、何?、ん、副市長?、あっ、」と、その後は想像に委ねるも未だその任に留まるは上の評価と見るべきか。昔気質の人情派、昭和の体育会系、大声に悪人なし、なれど、当人との通話の際は受話器との距離、数センチ、いや、数十センチ。下からの評価は知らねども現場の雰囲気悪からぬところを見るに。

降格に惜しく、というか、所長の任になくば逆に役に立たぬのではあるまいか。これが定年後に課長補佐などと放たれても。ゆえに以降も給与こそ減額すれども役職そのままに御活躍いただくが。それ自体が小説の題名にもなる位だから何かと考察の材料を与えてくれそうな「役職定年」。

そう、このたび、本市の出資法人の報酬が改定されるとか。定年延長に伴い、市に残留した際の給与が転出時の報酬額を上回り、法人側の人材確保が困難、というのがその理由。いやいや、制度的にそうなっとる以上、残留の希望者は全て残す。内部にて雇用継続すべきもの。何も受入側の報酬を上げずとも。

現に既存の転出組とてその報酬額にてちゃんと役目を果たしとるのだから。それで割に合わぬと思わば法人の内部にて昇格させれば士気とて、というのが今回の言い分。改訂の是非の前にそれを理由とするは。いや、仮にそこに本音があったとしても人目に触れるにもそっと知恵を絞れぬか。

出資法人における特定の役職が、事実上、市の退職者の指定席になっている現状への認識やいかに、と質問にて迫れども拍子抜けの答弁が示されるにやはり御手盛と揶揄されても。そもそもに局長級の退職者がそこにいては現職やりにくく。聖域化する可能性とて。

そう、今回の議案の中でも目立つは指定管理者の更新。中に一社選定少なからず。つまり競合がおらぬ。中でも過去に何度かの更新にあって当初から継続する法人などは間借りする社屋の中に法人そのものの本社機能を併せ持っていたりもして。

追い出さんとするに追い出せぬ。いわゆる入札でいう随意契約のようなもので公平性に欠けはせぬか。いや、何も無理に追い出さぬにせよ、あちらとてそれを盾に補助金の増額とか、こちらの足元を見られるは本末転倒。そのへんの均衡が保たれていればいいのだけど。

(令和5年12月16日/2823回)