白物

強豪校とあらば一回戦など歯牙にもかけぬ。が、彼らにとってはまさにその一勝こそが青春の証。巡り合わせの妙、実力伯仲の公立校同士の対戦にあって画面に見るはかつての同級生。あっ、ゆう君だ、と息子らが。あれから三年。立派に成長されて。主将としての役目を果たす最後の夏。息詰まる熱戦、延長十回の逆転に涙を。

毎年の恒例、予算要望。六十を超える団体からの要望に学ぶ現状。入札絡み、助成金の増額、が大半を占め。

非常時に備蓄あれども見当たらぬ倉庫の鍵、器具はあれども操作が分からぬ、は笑えぬ話。その為の緊急連絡先と申しても応ずる保証なく。操作方法を実演した動画のQRコードを貼って誰でもが。ネットが繋がらぬ可能性?まぁそれは。防災訓練なども要請に応じ、と強調されるも市と災害時の協定を結ぶに入札時の加点が見込めるとあらば純粋な善意のみとは限らず。

体育館の非常用電源が更新を迎えるに落札するは見知らぬ業者。約束が違う、では癒着を疑われかねず、あれだけ尽くしたのに、と。んな見ず知らずの業者が入れた機器の面倒を無償で見るほどおひとよしに非ず、QRコードの撤収を伝えるに寝耳に水、と動揺を隠せぬ危機管理部門。「非常用」の電源、つまりは災害用とされるも購入の予算は教育委員会にあり。という事例から学べる教訓は何か、というのが今日の趣旨。

今や並ぶは「白物」のみならず、酒に薬にゴルフウエア、まさに流行の品々。他店と比べて一円でも高ければ同額に、を謳い文句に成長を遂げた家電量販店。あれだけ安くされては太刀打ちできぬ、と閉店に追い込まれた地元の電器店とて少なからずも未だ絶滅を免れるは。捨てる神あれば拾う神あり。

そりゃ確かに量販店に比べて値段は高いかもしれんが、我々老人から見れば対応も親切だし、かゆいところにも手が届く、重宝しているよ、と地元の電器店の支持層も少なからず。価格か安心か、市とて価格を優先するは一つの判断なれど、その肝心な価値観が庁内にて共有されておらぬは何とも。

二つ目。波風立てぬが役人の習性。既に実績を有する以上はよほどのことがない限り。いや、逆に申さばよほどのことが生じたに違いなく。その間の交渉において洞察力に長けておれば予兆は感知できたはず。それこそが既得権益と背後から攻勢をしかけられる中にあって、盆暮れの付け届けはいらぬにせよ、両者の関係に抜かりはなかったか。

そして、三つ目。途中ならばまだしも、試合後の物言いやいかに。一度振られた賽の目や変わらず、次回に向けた牽制球にはなるやもしれぬ。どこぞの会長が如く、ブルータス、おまえもか、と叫びたい心境は分からんでもないが、事を荒立てるにそれだけ注目度が高まる訳で。元に戻しにくくなりはせぬか、担当局にとって元に戻すは自らの失敗を認めるようなもの、戻さば戻したでつきまとう批判も。

権力にものをいわせるはたやすきことなれど、そのへんが見えないと。覆水盆に返らず、こじれぬように。

(令和6年7月15日/2865回)