台風

たびに伏されるは「過去最大」、それでいて大半は軽症とはこれいかに、そもそもに、んな頻繁に記録が更新されるものか。報道など大袈裟に見せねば視聴率は稼げぬし、気象庁とて外れても逆に外れるよりは。あくまでも最大「級」だから。

そんなバイアスあれども、こちらは規模に進路はちゃんと可視化されており。むしろ接近が見えぬあの災害に彼らを信じるは結構なれど、海水浴の自粛や花火大会の中止、とは、さすがに「過剰」か。

久々の知人との昼食。メニューを前にドリンクだけで、と相手。腹が減っておらんのか、と尋ねるに、これで十分と少量のナッツとサプリで。それが意図的と知れど、やはりメシは旨く、楽しくなければ。

ヴィーガン(菜食主義)にグルテンフリー(低糖質)、最近はファスティング、いわゆる「断食」なんて健康法もあるそうで。今さら若くとか、寿命を伸ばそうと思わぬまでも、ことにランにゴルフに健康に、とその手の本に目がなく。医者にあらずんば治療は出来ぬまでもビョーキにならぬコツ位は知ってて損なく。

手に取りし一冊の巻頭を飾るは推薦の辞。その道の権威曰く、少し前までは著者の名すら知らなかった。明晰な頭脳、豊富な知識、ばかりか、実年齢よりもはるかに若く見える彼女こそがまさに我が理論の実践者、とまで。事実、巻末には著者の写真ありて。なるほど、確かにそう見えなくもないが、容姿に本の中身は関係なく。選挙のポスター見れば分かるでしょうに。モリー・マルーフ著「脳と身体を最適化せよ!」。

そう、ラン仲間のI区長がSUPにハマっておられるそうで。そう、あの湖面にボードを浮かべ、立ってパドルで漕ぐやつ。新たな趣味に挑戦する気概やよし、私にまで一緒にどうか、と声をかけて下さる親切心や立派。されど、本人の意欲とは裏腹に周囲の視線や。

何ともの好きな、すぐ流行に流されて。どうせ自らをよく見せたいとか、異性にモテたい、なんて下心があってでしょうに、と。いや、実は私も、とは言えなんだが、ここだけの話、ヨガ教室に。冷房が効いた快適な室内のはずが。汗だくでぐらつきながらもあの不恰好な体位を取らされるなんて。中年のオッサンには最も不釣合な趣味と知るももはや見てくれなど。

ヨガを始めんとするにランとは違い。およそ、そんな人の部屋にはその手の本が散乱していたりもするもので、偏見や先入観によるものと知れど、どことなく払拭できぬ「怪しさ」。入門したはいいけれど、新興宗教に勧誘されはせぬか、なんて。何よりも科学か非科学か神秘の世界、マインドフルネスなどと意味不明なカタカナに。

んな時に持つべきは人脈というか人の縁であって。インストラクターや大学時代の同級生。それも当時の成績や学内随一。卒業後は一流企業に就職したはずが、今やヨガのインストラクターとして。とすると、そのへんの「怪しさ」も薄れ、ないか。

何せ四千年の神秘。睡眠のみならず、姿勢に呼吸は健康に欠かせぬ。古来、陰陽に従うならば、動にあってはランにゴルフ、静にあってはSUPにヨガと、互いに補完しあう中にこそ上達、いや、健康が。

信じるは勝手、ほどほどに。

(令和6年8月20日/2872回)