緞帳
「どんちょう」と読む。いわゆる舞台の幕のこと。
少なくとも一昨年まではそこに仲睦まじき夫婦の姿が。勝てぬ年齢、昨年は施設、そして、今年は。鬼籍に入られた御主人の穴を埋めるは娘。裏山が畑とは知るところ。自家製みかんの出荷に追われ。甘くはないけど、と土産にいただきしそれを食するに。昨今なんぞ糖度云々と「甘さ」ばかりが追い求められるも柑橘系に欠かせぬは酸味。まさにこれこそが本来の味、か。
晴れて勝ち取りし無罪の判決。されど、あれから既に半世紀。モンテ・クリスト伯ばりの復讐劇、はないのだろうけど、その胸中に想い馳せるに。社会秩序には欠かせぬ彼らも時に。冤罪の背景には自らの脚本こそが絶対、との過信があって、過ちて改むるに憚ることなかれと知るも、狙い定めし相手は必ず、との執念が。とするとこちらも。本件こそはまさにそれに匹敵しうる大事件だ、と意気込むはM君。前回に次いで第二幕の「緞帳」が上がりそうな気配。
極秘メモの入手経路を追うのであればまずは実際にメモを手にした市議本人に聞かばいいものを、報復恐れてか、不問に付される議員側。当局、と申しても警察ならぬ部署内の捜査にあって押収されるはスマホ。そこに確たる証拠が掴めれば「検挙」とてやむなしも見当たらぬ証拠。あくまでも閲覧が可能だったそのメモを公用パソコンから自宅の私用メールに送信した事実を以て「犯人」と認定。いや、当人に限らず、欲すれば誰もがその行為には及べた訳で。そもそもにスマホ押収に中身をのぞき見するなんぞ。
当局を驚愕せしめるは犯行を裏付けるやりとり、ならぬ、市議の登録の件数。それも特定の政党のみならず、各方面に張り巡らされる情報網。これは危険人物、匿わばいづれ厄難が。いっそ、これを機にこやつを首謀者に仕立て上げれば我らが罪は免れるばかりか次年度以降は会うことも、なんて。スマホへの登録の件数が物語るは彼の実績。市議ら相手にそれだけ面倒な案件をこなしてきた証であって、勲章にこそなれど。そもそもに市役所にあって一人として市議の連絡先を知らぬ管理職なんてのは。
いや、確かにキャラが立っていることは否定せぬけど、勉強家で広い視野を有するは本市にあって貴重な人材。そこに嫉妬心を抱く連中とて。私とて借りがなかった訳ではないけれども、私以上に散々に彼を利用しておいてこうなった途端に手のひら返すは。無実の罪を晴らせずともせめて同情を寄せる位の。所詮、そんなヤツらは学歴とか肩書でしか相手を判断できぬ連中だから。
職場内の見せしめ、彼一人に責任を押し付けて逃亡を図るは武士道に反し。それっぽっちの処分では上が納得せぬ。ならば何も彼の罪を重くせずとも、薄く広くその罪を分かち合うのが。どうもそのへんがイジメというか陰湿で好かぬ。そんなヤツには人生の運は味方せぬゆえ
(令和6年12月10日/2894回)
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