机下

目前に突きつけられし一枚に自供を迫られるは前回の「彼」の心境に同じ、か。告げられる犯行時刻、午前十時二十五分は開始直後。んな証拠写真を押さえられるに動揺隠しきれず、スマホの画面に追うは過去の履歴。今にして思わば、あくまでも道義的な話、社会的な善悪が問われる事案ゆえ。逮捕権を持たぬ記者を相手にそこまで従順に従わずとも。

そう、本会議中のスマホ利用。机下は負い目の証拠であって、不適切とは知りつつもイジるはやむにやまれぬ事情があった、としか。無実とはいわぬまでも、そこに「やましい」やりとりはないと知るがゆえ。朝のドタバタ劇に忘れし相手への一報。まぁいいか、とは軽率。それにしてもバカ正直に答えすぎたか、支援者への急用、とでも。

他に市を揺るがす大事件でもあらば埋没したのだろうけど、そんな時に限って「平和」だったりも。朝刊におぬしの名が、と親切にも知らせて下さるはM君。ふむ、昨日、事情聴取を受けとりますゆえ、さもありなん。全てはわが不徳なり、と身を慎む中にあって、そもそもに。おぬしこそ模範などとは誰も、むしろ「その程度」というのが巷の認識。話題に上がってなんぼの世界。広く知れ渡るは必ずしも損とは限らぬ。何事も物事は前向きに解釈せねば、とは慰めにもならず。

そう、上がるは個人名のみならず、付されるは「元議長」なる大そうな肩書にあって、この恥さらし、と歴代も泣いておられるに違いなく。そもそもにこうなることは容易に予見できた訳で、末席を汚すどころか抹消にて構わぬ、せめて退任後に飾られる肖像画はいらぬ、と散々に辞退したはずも。それはならぬ、役所側。ゆえに私の写真だけが過去の使い回しにて明らかにヘンであり。いつでも取り外し結構、いっそ盗人でも。無価値どころか捨てるに料金取られたりもして。

閑話休題。彼こそは支援者などと思うはこちらの身勝手な解釈。未だ左ハンドルを乗り回す地元のNさん。在籍や大手の出版社と知るも現役時の役職は知らず。よもや重役、なんてことはないはずも、当人の口から語られる交遊談は聞くものを飽きさせず。私が無類の本好きと知るに時に応じて他県の別荘から珠玉の一冊を届けて下さるのだけど、ついこないだも。

それこそが出版人生の集大成と自ら公言して憚らぬ一冊。表紙には果てしなく続く一本の道。完全保存版と銘打たれた一冊や写真集が如き大判にて持ち歩きかなわず、夜な夜な。ページめくるに目を惹く写真ふんだんに盛り込まれるばかりか、添えられし軽妙洒脱が何とも。あれだけ広大な大地を有する国にあって発展に欠かせぬは「道」。歴史に貢献した道を辿りながら国を知る本。

希望の道「ルート66」、開拓者の道「オレゴン・トレイル」、文化の道「グレート・リヴァー・ロード」、伝説の道「US-1」と。いや、確かに彼ならば。されど監修以下、見当たらぬ彼の名。不思議な御仁です。

(令和6年12月15日/2895回)