甘春

支援者宅にて貰い受けるは裏畑にて育てた自慢の一品、だそうで。

外皮は厚く、色は黄よりもオレンジ。柑橘類に品種多く、デコポン位ならば見た目に察しが付くけど。交配の品種にてスイート・スプリングと。スプリング・バンクスはスコットランド、キャンベルタウンのウィスキー。スプリングの命名は春を呼びそうな。

収穫後、寝かせるに甘み増す果物多く、店頭に並びし時には熟れ過ぎていた、なんて。その後の過程を鑑みれば、やや早めの収穫になりがちも、いちごは変化が少ないとされ。完熟の一粒をその場で、というところがいちご農園の強みとされ。それが消費者に近き首都圏近郊とあらば。

目立つ耕作放棄地は後継者の不足によるもの。田んぼあれどもやり手がおらぬ。同じ農家間といえども転売は厳しく制限されるに。農業振興地域内に新たに生み出される需要。数年前までは父君が仕分け途中の品をそっと包んで下さったのだけれども、今やそれどころになく。人手が足りぬと見えて、駐車場の入口にて誘導係に徹するはアルバイトならぬ父君であり。

巷に不足するはコメのみならず。苺なきケーキはケーキに非ず、不足を心配するに。露地ならぬハウスとはつまりはそういうことのはず。天候に左右されぬのだから不作など。いやいや、そこはものすごく繊細であって害虫に弱く、ハウス内とあらば露地よりも逆に広まり早く、細心の注意を払わねば、と父君。「儲かる」ように見えるけど手間とて。んなオイシイ話なんぞ。早野の観光スポット。

医療、介護を巡る相談少なからず。当方は病院、つまりは医療機関にあって介護施設にあらず。かたや介護施設にあって医療行為を伴わばそれは当方の関与するところにあらず、他を、と迫られる家族の苦悩。転院先と申しても事情は同じ。受入側とて同じ介護度ならば手間のかからぬ患者に限る。

転院の患者とはつまりはそういうことで。拒まれる上位や透析に認知症。透析に生じるは日々の送迎。ならば、いっそ施設の中で行わば。透析に対応可と謳われるは家族にとって。立地こそ駅数分ながら割り当てられる狭き一室に提示されるは安からぬ利用料。

当事者のプラン作るはケアマネこと介護支援専門員。必要数を算出するに公費で賄えぬ分は私費とされるもそれすらもままならぬ利用者も。泣きつかれるはケアマネ。あと二つ、いや一つでも介護度が上がれば、と知るも何せ相手は役所。

彼らとて実際の利用者の状況を見て判定するだけであって金銭の有無などは斟酌してくれぬ。ましてや、公費を投する以上は慎重にならざるを得ず。そこに私情を挟むなど、というのが彼らの理屈。

んな状況下にあって、そこを何とか、と鉢を回されるに助けこそ惜しまぬまでも、下された採点をもう一度って話であり。そのへんの微妙な空気感に包まれる中に市議の介入が話を余計にこじらせはせぬか、いちご以上に注意を払い。本人の意思に家族の意向、受入側の良心に役所の理解、と複雑な方程式に解を見出すべく。

(令和7年1月25日/2903回)