虫歯
身体を動かすに必要な栄養を摂取するは口が大半、それもそのままとはいかず。咀嚼するに欠かせぬ歯の予防こそ健康の秘訣であって、そこに金銭を惜しむべからず、との妻の指示に従い。歯科衛生士による手入れに通い続けて二十年。
年に数回、いや、たった二回といえども保険適用外の対価払い続けし結果が。ゴネて治るものになく、言うだけ野暮か。いや、手入れしたればこその発見、むしろ向こうとて告げるに負い目はあったはず。治療の予約を入れてみたものの、やはり口に異物を入れられる不快感にあの音、抜歯なんぞ。募る不安に憂鬱な日々。
迎えし当日、診察室にて高まる動悸。顔なんぞもう恐怖で。んな緊張感を察してか何かと気遣いを見せて下さり。治療とてものの数分、本当に虫歯だったのだろうか。帰りは美人衛生士に見送られ。やはり患者の不安感を和らげてこその名医にあるまいか、とつくづく。
そう、久々の常任委員会にて俎上に上がるは放課後等の子供の居場所。要は彼らの声を聴くことでそれに見合った居場所を整えんとの趣旨らしく。思春期における悩みを把握して手を差し伸べんとする博愛の精神こそ立派なれど、全て意に沿うが如く見せる、いや、「見られる」は後々こじれる元凶になりはせぬか。
そう、昔のことにて当時の背景や知らぬ。が、伝え聞くにそちらの勢力の隠れ蓑とされ、一掃すべく市が独自に。んな取組が注目を集め、全国から視察が相次いだはずも追随を見せるはいかほどか。何せ自主財源となるだけに。
そんな状況下にあって補助金を打ち切られようとも全額自己負担の自主運営を今日まで。彼らにも支援を、との声あれど既存の枠組みがある以上、そちらに。いや、確かに私もそう思った。が、彼らの後押し図るは同じ会派のA君。「君」と申しても私より期数は上、つまりは過去の経緯も知り得るはず、まして論客の彼がなぜに。
当人の言い分によれば、おやつ代さえ払わば誰でも自由、定員なしとあらば。それだけの人数を抱えるに目が行き届かぬばかりかなじめぬ子とて。何も元に戻せとは言わぬ、が、その為の国の補助金なのだからそちら「も」容認、いや、せめて彼らの存在くらいはもそっと宣伝されても、と。
過去、再三の訴えも示されし資料には「学童」の語彙すら見えず。いや、数十頁にわたる資料中に一か所だけ、それも頁の末尾に。そこまで忌諱せずとも。ふむ、確かにそこまでつぶさに聴取を見せるならば。とすると何か理由が。
復活を認めるは過去の非を認めるようなもの、ましてや認めるに他に波及しかねず。そちらになびかれて既存の枠組みが崩壊しては一大事、蟻の一穴への懸念あたりか、と質疑中に思案巡らすに、次なる発言者が対岸の彼であって。
まさにA君の言い分そのものだ、と気炎を上げるに真実味を帯びるあの日の伝聞。とすると、そもそもの理由が理由だけにあまり表に出ぬほうが、なんて。そんな情に絡むところって意外と。
(令和7年1月30日/2904回)
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