興行
「ゴルフは素振りに尽きる」との名言残すはジョン・ボールなれど、「振る」重要性を力説するは彼のみにあらず。地元のM君はいわゆる「クラチャン」、某ゴルフ場の昨年の選手権を制したスゴ腕にて。当人曰く、上達の秘訣や「まずは思いっきり振ること」。俗に「マン振り」を日に百球、百日続けるに球は見違え、人もまた、と。いや、人は変わらずとも。
口一つなれど耳二つ、話すよりも聞くことから。聞くは得意も語るは苦手。話下手にて退屈やもしれぬが、これも縁にてしばし付き合いを、と三十分。中高生向けの講演を終えた。居眠りなきがせめてもの救い、か。
終了後、司会者が求めるは質問と感想。「私の話が今どきの若者にウケるか否かの試金石。世辞は一切無用、遠慮なく申せ」と上から目線で求めるに。挙手複数あり。最初の質問や「議会ではどんな話をするんですか」。おい、ちゃんと話を聞いていたのか。いや、講演に議会の「議」の字もなく。んなものはホームページで録画でも見て。はい、次の方。
彼らに伝えるは夢と希望、いや、「現実」こそ。物事には表裏あり。全員が得するに越したことなく、それこそが理想なれど現実は甘からず。誰かが得すれば、誰かが損を。損得の帳尻を合わせるのが政治の役目。帳尻合わせるに必要なことは云々と。内容は兎も角も相手に伝わるは「気迫」。
次なる質問や「何でそんなにテンションが高いのか」って。学校生活に同じ。んな暗い顔をしとるヤツの回りに友達が集まるか。次、「選挙権を得るに投票する時の決め手は何か」。自らの目と耳を信じること。いいヤツ、悪いヤツの直感はおよそ当たる。政策をじっくり眺めるよりは相手の顔と言葉を。着色されたポスターで決めぬよう。
最後に中学生の一人が感想を。相手の立場に立つことの大切さがわかった、と。そう、それが一番大事。
閑話休題。市の管理職にはすこぶる不人気なれど、末端、いわゆる現場の人気は人後に落ちず。ヒマではないと拒めども気にせぬ連中。つい数日前も庁舎を出た途端に着信が。よもや盗聴器、隠しカメラでも。これからメシでもどうか、と。なに、私に内緒でゴルフとな。何故に私も誘わなんだ。
現場と市議の接触に眉をひそめし管理職。どうせ職場のよからぬ話でも、とは下衆の勘繰り。若かりし頃にヤンチャだった彼らのほうがよほど世辞には長けて。呑んで笑ってじゃあな、で終わり。それで明日から仕事に打ち込めるのであれば。
この前なんぞは往年のプロレス談議に花が咲き。馬場に猪木にブッチャーと。まぁ、その世代しか通じぬ話題なれど、今の議会に必要なのはプロレスだ、とか。そこに困り人がいて、頼まれるセンセイと実務を担う我々役人。
たとえ八百長と言われようともそれぞれの顔が立つように協力し合うのがあるべき姿にあるまいか。あのレフリーのカウントとて。興行と知りつつもあの熱狂と見入る不思議。そこには興行といえども彼らの真剣さがある訳で。伝わる想い。まさに、見てよし、やってよし、相手よしの絶妙な空気感。
それにしても誘いはかまわぬ。が、思い立ったが吉日と当日の電話は。誘われるうちが花、か。
(令和7年5月21日/2925回)
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