五色

そちらが佳境というに。後援会のコンペを終えた。各ホールの打ち始め、ティーグランドに見かけるは五色の目印。その違いこそハンデとされ。

距離が短い順に「赤」「金」「白」「青」「黒」とあって、「レディース」「シルバー」「レギュラー」「バック」「フルバック」と。つまり一般的には「白」こそが標準とされるも、当該コースに限っては「青」が標準、レギュラーとされ。規則には、男は「青」、女は「赤」、シニアならぬ75歳以上は「白」でも可、としたはずも。

日頃のままに「白」こそがレギュラーとセットしてみたり、「金」こそが我々の定位置と。ましてや最初のホールなど「青」「白」がほぼ同じ、「金」「赤」が谷向こうなだけに。「金」に関する記述はなかったはず、ないものは可とみなす、と解釈してか、前方に移動せんとする前組を制するに。昨年も「金」から、と。それルール違反にて没収とは言わなんだけれど。

前から打たば有利、とは「欲」。距離が短くなれば打数は減るとは必ずしも。こちとてプライベートであれば何ら口は挟まぬも自らの冠ついた大会にそこを許さば。主役が言わばカドが立つと察してか。ちゃんと事前に配布しとるのだからつべこべ言わずに規則に従うべし、とSさんがピシャリ。

そもそもに純粋な打数を競うが本来なれど、それではあらかた順位に番狂わせ少なく、とりわけ優勝の目など。そこに生まれし新ペリア方式。各ホールのスコアを入力するに自動的にハンデが加算され。下手は下手なりに、上級者は上級者なりに。老若男女が同じ土俵上で。

大会名には「親睦」を謳ったはずもそこは真剣。物言い付くはティー位置のみならず、「前の組が遅い」なんて。待たされるはそこに限らずもその後はおよそ。ゆえに腕の巧拙以上に迅速なプレーこそがマナーとされるも本人には自覚なきこと往々。自覚なきとは語弊か、当人は早くプレーしとるつもりが周囲から見れば、という意味で。そこを「自然と」補うがキャディの役目なれど、プレー代の節約か昨今は不要組とて少なからず。

そう、隣市の在住なれど私の為に、と初当選以来ずっと。ゴルフ仲間の有権者を連れだって御夫婦で参加して下さるKさんの組にも後ろから。そりゃ当事者同士は面と向かって言わぬし、当方の参加者に限らず全体的に遅延気味な中にそこがたまたま。プレー終了後に小言が寄せられ。

Kさんの組は私の一つ後ろ。その姿は遠目とはいえ視界に確認できたはず。それは少し間隔をあけたほうが詰まらず、との機転か。当人はベテランであるばかりか、何せ当該コースの会員でもあり。年齢的にはまだまだのはず。後半は夏バテだったのかもしれませぬ、と詫び入れて。

いや、でも言われてみればどことなく不自然というか違和感。背がやや前傾気味で晴れぬ表情はスコアに落胆という風には見えず。表彰式後、御礼ともども見送る中にあって、実は、と耳打ちされる事実。過日、パーキンソン病なる診断結果を宣告されてしまった、と無念さ滲ませ。

抗えぬ運命と知れど本人の心境を慮るに。

(令和7年9月25日/2950回)