呼鈴
自宅前の静寂は休日の朝ゆえか、それとも。一年ぶりの訪問に躊躇する呼鈴。それもそのはず、昨年は。長年連れ添いし奥様の入院に落胆を隠せぬ主人。聞くに聞けぬ病名、その年齢とあらば大半が「片道」であり。よもや。
とりあえず名刺だけでも。いや、んなことでどうする、と鳴らすに奥から主人の声。どうぞ中に、と招き入れられるに姿を見せるはその人であり。当時と変わらぬ御元気な姿。今年は夫婦で正月を迎えられる、と。
柿とみかんは家の自慢。玄関内に置かれたビニール袋一杯の柿。今年最後の柿を私の為に、と。三個もあれば十分。いや、その背負いしリュックに詰めれば、と家主が自ら。格安スーパーの詰め放題じゃあるまいに。どこぞの庭の柿を盗んできたみたいで。それにTさん宅のみかん加わり。どう見ても市議には見えず。そのままに。
昼の休憩はそちらと。隠れ家的なレストランが区内某所に。それが御趣味だそうで。旧家の令嬢が営みし店はランチのみの営業。自宅の畑で採れた新鮮な野菜を使いしメニューが並び。肝心の挨拶を終え、「もし、可能であれば」と打診するに、「13時過ぎなら席を用意しておきますよ」と令嬢。ならば後ほど改めて、と約束の時間に伺わば。
店内は女性ばかりだけどいいかしら。こちらは気にせぬ、むしろ、そのほうが。上品なマダムの中にランの格好そのままのオッサン一人。こんな時の為のランであり。注文するは白ワイン。しっかりした味、やや黄色がかった、シャルドネか。
閑話休題。今回「は」質問するのですか、と複数人から。ちゃんと毎回「欠かさず」やっとるではないか。気づかされる自らの存在感。覚えなき課金や新手の詐欺か、いや、詐欺にしては月額数百円はセコい。もう数年。それで生活に困ることはないもののどことなく。
何とかならぬか、と相談主。「覚えなき」とは本人の勝手な思い込み、何かしらあるはず、なんて言えず。ダメもとで、と繋ぐは消費者行政センター。数日後、当人から連絡あり。無事に解決した、と大変な喜びようで。
折しも委員会にて報告を受けるは消費者行政推進計画。そこに寄せられる相談を見れば今どきの流行が。やはり一位や不正利用、二位は不動産貸借。しっかりと耳を立てて質疑を聞けど。嚙み合わぬ答弁に苛立つは質問者、ならぬ私。
おい、そんなことを聞いとるのではない。市議をバカにしとるのか。あくまでも所感を聞いとるにそれすらも答弁に窮するとは。そこに声を荒げるは稚拙。質問者本人は大人の対応にて幕を閉じたのだけど。
委員会の続きを、と室長を呼んで。緊張感ゆるむ中に聞く本音と実態。よくわかった。贔屓目に見ても庁内の主流と呼ぶに及ばぬ地味な部署。されど、まさに弱者の味方、社会への貢献度は他部署をしのぐというに目立たぬは何とも。
今のやりとりを委員会ならぬ本会議の質問として公にすればそちらのいい宣伝にも。何も遠慮はいらぬ。いや、遠慮にあらず、との室長に、また一つ、質問の通告件数が減ってしまった。
(令和7年12月20日/2967回)
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