美貌格差

話題の英会話教材の謳い文句は「ただ聞くだけ」。読む以上に聞く方が圧倒的に時間内の情報量は多い。それだけに聴覚に障害を抱えた方は大きなハンデを背負う。さりとて、ほんとの記憶の天才は見た内容そのもので覚えるのだとか。
ある雑誌の巻末に書評を見かけた。ズバリ、「美貌格差」(ダニエル・S・ハマーメッシュ著)。書評には容姿がいいことで有利になる就職活動や恋人探し以外に「選挙」なんてのも...。生涯年収に至っては並み以上と以下とでは23万ドル(約2,700万円)の格差なんだって。ちなみに一見、女性のほうが左右されそうだが、女性よりも男性のほうが容姿による収入が大きいとか。まぁあくまでも著者の分析だけど。
その副題には「生まれつき不平等の経済学」と添えられているんだけど、聴覚障害者の方々との意見交換を終えた。専門の手話通訳者の派遣を申し込んだ上での機会なのだが、時間内に手話通訳で伝達できる情報量は限られているだけに予め聞きたい内容を整理してFAXにて送付。限られた時間内で有意義な機会となった。
中でも統一地方選に川崎市ろう者協会から手話通訳者の派遣案内をいただいたものの、不遜にも「果たして通行人の方々の中にどれだけの手話通訳を必要とされる方々がいるんだろうか」などと懐疑的な見方をしていて、ならば自らの訴えを聞いていただく以上に当事者たちの御意見を聞かせていただくほうが大事ではないかと。
聞けば手話通訳者の派遣要請をいただけば区内在住の会員には通知が行くのだそうで。今回の選挙における市内の実績は7件(やっぱり少ないよナ)。ちなみに「わが会派は?」と恐る恐る尋ねてみれば...。7件は延べ件数にて実数は6名、うち1人がわが会派だそうで、しかも、当人だけ2回の派遣要請をされたとか。そんな事実を周囲に吹聴するなんてこともなかったみたいだけど、結果は1万票を獲得して区内トップ当選。それが1期生(当時)だっていうんだからやっぱり努力してるんだナ。
そうそう、当日は市内における聴覚障害者の状況、とりわけ、最近は突発性難聴の方々も少なくないが、先天性の方々と後天性の方々とのギャップ、手話通訳者の派遣状況から市への要望等々について聞かせていただいた。
「不便ではあるけれども決して不幸ではない」と言い切る当事者たち。最近は高齢化とともに病院への通院回数が増えていて、医師との対話に手話通訳者は必須となるものの、協会から派遣可能な手話通訳者は限られることから当事者たちの希望に添えないことも少なくないとか...。また、そのたび毎に派遣の手配をするとなるとその調整とて結構な手間となる。実績こそ少ないものの、近年は役所や病院に手話通訳者の常駐や聴覚障害者への対応を模索するケースも増えつつあるそうで、そんな状況なんかもお聞かせいただいた。