資本論

小学校3年生の社会科の授業では「わたしたちのまち」について学ぶのだそうで、川崎市の各区の特徴や名所などが含まれる。そんな地元の児童生徒たちが南北に長い本市を縦断して大型バス3台でこちらにやって来た。目的地は川崎「区」役所に川崎マリエン。川崎「市」役所であれば私が案内役でも...いや、かえって迷惑だナ。
さて、小学生の頃から朝の駅頭で挨拶をしてくれていたH君も既に大学生。そんな本人からメールが届いた。「ドローン」「ウェアラブル端末」「IOT」などを使って世の中の役に立つ価値を提供するビジネスプランを立案するグループ授業があるそうで、柔軟な発想を有する学生諸君ならではアイデアが気になるけど...。が、そもそもにドローンはまだしもウェアラブル端末にIOTって何なんだ?。
トレンドに敏感でなければ...と「ドローンの誕生」(リチャード・ウィッテル著)を読んだのだが、元々は軍事用の囮(おとり)無人機に着想を得た技術者が発明したものだとか。こちらの人的被害が無く相手を攻撃できるんだから善悪を抜きにすれば画期的な発明には違いないと思うんだけど当時の軍部には全く見向きもされなかったそうで。
それもそのはず、空軍などは操縦技術こそ勲章だから無人偵察機なんてのは操縦士の存在を否定するようなもの。で、公的機関で開発を進めてきた当人はその限界に気付いて独立するんだ。自らをサケに例えて「酸素をたっぷり含んだ急流こそ必要だ」と。サケは産卵の為に生まれ故郷の川に戻って来るんだけど急流を必死に遡上する姿は圧巻。
さて、ピケティに次いで「資本論」が若者にウケていると聞いた。資本論といえばマルクス。今さら計画経済も無かろうと思うんだけど、背景はやはり漠然とした将来へ不安か。日経平均株価がITバブル期を上回ったとはいえ実感が...。一億総中流の時代やいかに。そんな自由競争に対する懐疑心の拠り所になっているのがこの「資本論」ではないかというのが勝手な推測。そう、英国のニューレイバーが「第三の道」を模索したような...。
私の勝手な解釈によれば計画経済が破綻する原因は人間の怠惰性。やってもやらずとも同じ報酬ではやっぱり怠けちゃうんだよナ。と、まぁ私なんぞはそもそもに性悪論者だから。伝統的に勤勉性が美徳とされるわが国においては少なくとも他国以上には計画経済も機能しそうに見えるけど、最近は自助以上に公助が当然との価値観が浸透しつつあるからどうか...。