七草粥

今年は文豪・夏目漱石の没後百年。今以てここまで多くの方々を魅了するには訳があるはず。英語教師の頃に「I love you」を「我君ヲ愛ス」と訳した生徒に「月が綺麗ですね」位に訳すべしと諭したとされる逸話にその秘めたる才能が窺い知れるが、俳人・正岡子規との親交はつとに有名で俳句も好んだとされる漱石先生。
小学校三年生の娘が国語の授業にて俳句を作ったそうで、その詠んだ句が「雪降れば枯れ木に白い花が咲き」。どこにそんな繊細な観察眼がと思いきや「ゆ~きやこんこん♪」の歌に着想を得たとか。確かに歌詞の最後は「枯れ木残らず花が咲く」だったナ。そんな娘は不思議と百人一首を好んでいて、私以上に上の句と下の句が結び付く。ちなみに双子の息子による自慢の一句は「初夢を見ればいいことあるんだよ」。まぁそんなもんでしょ。
さて、七草を終えた。当日の区文化協会主催のあさお古風七草粥の会では片平囃子連による郷土芸能が披露され、昔の遊び等に親しむことが出来るのだが、今年は運悪く仕事と重なった。さりとて、会長位には挨拶でもせねばと朝の準備に顔を出せば、老いて益々盛んな会長自らが陣頭指揮に立って各方面に指示を飛ばす。
機を見計らって声をかければ、「かわさきかるた」を御存知かと聞かれて、娘が百人一首を少々と取り繕ったのだが、百人一首じゃなくて「かわさきかるた」だと、そのへんはさすがに年の功かごまかしは効かぬ。その郷土愛こそ分からんでもないが、やっぱりまずは百人一首だよナと思いつつもそれを言わばカドが立つ。言わぬが花と「次回迄に勉強しておきますゆえ」と会場を後にした。
言わぬが花といえば暮れの大みそかに支援者の御婦人から自宅に御電話をいただいた。年末のテレビ番組にて国会議員同士が対談、他政党のセンセイが老人軽視の発言をされたとかで随分と御立腹の様子。受話器を置いて検索に検索を重ねてようやく探し当てたのだが、それほど目くじらを立てるほどのもんでもなさそうだけど、そのほんの一言がよほど癪に障ったんだナ。
そうそう、どこぞの総理が「スター・ウォーズ」最新作に「杉原千畝」と映画三昧の年末との報道を目にしたが、実は元旦に内緒で見た映画が何を隠そうまさにそれ。一国の総理と趣味が合うとは私も隅に置けぬ(自分で言うな)。ちなみに年末にはロッキーの盟友アポロ・クリードの息子を描いた「クリード-チャンプを継ぐ男-」も見たし、吉永小百合主演、山田洋次監督の「母と暮らせば」も近日中に見ようかと(センセイって暇なんだナ)。