やぶへび

出会いと別れの季節。定例会の最終日に任期途中の3月を以て退任する副市長から挨拶があった。これまでの公務員人生を振りかって一つだけ胸を張れるとすればその判断が「市民の為になっているか否か」を指標としてきたと。何か持ちかけても出来ぬ理由を探すのが得意な役人に「おい、どっち向いて仕事をしとるんだ」と諭すこともしばしばだが、上意下達の階級社会において上とサシで話が出来るというのがセンセイの特権事項であって当人には私も随分と御世話になった。
さて、おらが市議団の執行部の任期は原則2年なんだけど団長が体調不良を理由に任を下りると聞いて私も辞することにさせていただいた。団長からは慰留いただいたものの、あくまでも今の団長の補佐役として推挙されただけに二君に仕えず、というか小姑が幅を利かせては後がやりづらかろうと御辞退申し上げた。これで晴れて...。閑話休題。
少し前の話。本市の教育委員の一人が出席率が低いながらも満額報酬を得ていたとの報道にネット上では批難が殺到だとか。あくまでも「報酬」、つまりは役職への対価だから特に不正を働いた訳ではないのだが、その職務に対する道義的責任はどうなのかという話。教育委員の任命は市長権限だが、その同意は議会の仕事であってこちとら涼しい顔をしていられるものでもない。
本人から他の仕事の都合で欠席の可能性が予め示唆されていたもののそれを踏まえて就任を依頼したと記事にあったが、そんな裏約束があったなんてのは聞かされていないだけにその隠蔽責任を追及してみたくもなるんだけど、それが明るみに出た以上は...つまり「やぶへび」というのは少なくない。
今回の議案の一つに給与引き下げが含まれる。その審議の際に労働組合との交渉経緯を聞いた質問があって激変緩和を目的に3年間の給与月額を維持することで妥結したなんて答弁があったもんだからつい耳が立って、本来下げるべきものが同額を維持するとはそりゃ御手盛りではないのかと詰め寄った。激変緩和措置に要する本市負担額は年間1億円だとか。
やぶへびといえば市長に献金した人物が市の評議委員に就任しているのは不適切ではないかとの追及。こちらは実費相当額の費用弁償にて出席回数に応じて日当1万円程度が支給されるんだけど年間の開催日数はほんの数回。その役を射止める為に献金をして地位を買ったなんてのはゲスの勘繰りってもんでそんな三流記者が好みそうな話題には興味すらないけど他人様の収支報告書などよく見ているよナと。
そもそもに審議会なんてのはあくまでもアリバイ作りのようなもんで物事を決めるのは役人でも学者でもなく有権者の負託を受けたセンセイの仕事。しかも、寄附を貰えば収支報告書への記載義務が課せられて、それがネット上で公開されるから怪しい関係として疑念を抱かれないとも限らない。だから本当にワルなヤツは袖の下というか領収書の要らぬカネで...。貧すれば鈍するって格言があるけど怪しいカネに手を出さぬよう、他人様から貰わずともやっていけるだけの待遇を保証いただいている訳で。