手弁当

気を紛らわす為の編み物。被災地支援の一助になればと販売に協力してきたんだけど、そんな機会も今回が最後となるらしく福島県飯館村の仮設住宅から届いた一通の手紙を御披露させていただいた。避難指示解除に伴い、この四月には晴れて帰村が叶うものの、様々な制約を受けることから手放しで喜べぬとか。今年も恒例の新春の集いを終えた。
日時などは仏滅を忌諱する位であとは会場側の都合によるんだけど、やはり何かしらあるもので今年などは消防団の訓練と重なったもんだからやれ気が利かぬとの小言も...。それとて気がある証拠でこちらの不備を詫びるんだけど、逆に出席ともなれば金銭の負担が生じる上にくだらん話を聞かされるだけなのだから向こうにはかえって好都合だったりもして。
また、当日などは大安日にてH君の結婚式と重なったのは何ともめでたく。そりゃ慶事にてむしろこちらが披露宴に参上して挨拶を...呼ばれていないって。そう、夫婦仲といえばファーブル昆虫記にコガネムシの生態系が登場するんだけど、これが兎角働きものであるばかりか、つがいの相手を絶対に間違えないのだそうで。意図的に別々にしても途中多くのメスがいるにも関わらず浮気もせずに必ず同じつがいに辿りつくというのだからスゴい。
さて、それが伏魔殿として描かれるところこそ魅力であって、ひとクセもふたクセもある性癖こそ否定せぬものの所詮は人の世界だからそれも一興で注意深く観察すれば昆虫の生態系以上に話題に事欠かない。他人の不幸は蜜の味、何分身勝手な連中だから家庭には何かしらのわだかまりがあったりもして不仲説が囁かれたりもするんだけど、かくいうウチなどは無頓着すぎて冷やかしにもならんらしく...全く自慢にならんナ。
当人の私生活は兎も角もその政治的資質「だけ」は評価している一人にA兄がいて、およそ不仲説を流布する首謀者がこの御仁。あまり見かけぬと思えばSNSに自らの手弁当をアップされているもんだから、やはりそれまでのツケが回った結果、とうとう愛想を尽かされたナなどと嘲笑してみたものの、どうやら笑えぬ事情らしく...。
で、その投稿は単に弁当の自慢のみならず政治批評が含まれていて、それが何とも大胆で鋭い。依然として注目を浴びる都政。あの区長選を制して以降は旋風で夏の都議選では何議席を確保だとか好き勝手言い放題の風潮を一刀両断。首長の子飼い、大政翼賛会に何の意味があるのか、首長と議会は少し仲が悪い位が丁度いいのだと。
まぁドンも目の敵にされて何とも損な役回りだけど、どれほどの大物といえども大河の流れには逆らえぬ訳でその中でいかなる立ち居振る舞いを演じるか。今さら許せぬ肚内は分からなくもないが、自我を通せば配下は犬死になる訳で船頭役の資質は組織の命運を左右する。どこまでもついて行きます下駄の雪では情けない、その限界を見透かされてか、女房役の政党もさすがに泥船には乗れぬと袂を分かつ。
そんな悪役を仕立てる劇場型政治はいつか終焉を迎えるんだけど、振り返って空白の歳月などと言われぬよう。
(平成29年2月11日/2325回)