毒舌

壁に耳あり障子に目あり。早かれ遅かれそんな話が耳に届くのも時間の問題なんだから手柄話とばかりに吹聴せぬほうが身の為だったかも。将来を嘱望されたエースに挑むは名うて(と評判の)経営者。私が示した妥協案すら納得いかぬと徹底抗戦も辞さぬ覚悟にてその意向を市側に伝えれば「(センセイの)手を煩わせぬゆえ御安心を...」と更なる譲歩はせぬ旨の返答があった。
そもそもに幕下行司が結びの立合いに呼ばれたようなものでそのへんが混乱の元凶なんだけれどもそこまで自信満々に返されては仕方あるまいと相手方に結論のみ返事をして、なりゆきを静観していたんだけれども「センセイ絡みのあの事案は一言で片づけられたみたい」との風評。語り主の口調に「所詮はその程度のもの」とのニュアンスが含まれる。
火の無いところに煙は立たぬ、当たらずとも遠からずか。そうなると話が些か違ってくる訳でこちとら役所の事情を斟酌して緩衝役を買って出たつもりが「その程度」とあらば擁護する気も失せて...。相手の意に添わぬ結論の際はより微に入り細に入り対応せねばならんのだけれども知識に勝るエースも処世術には疎かったか。
さて、重い事案は片づけておいたから「あとはアンタでも...」とでも言いたげな前任者からバトンを受けた議会改革検討委員会の委員長。俎上に上がる議題は議会報告会について。開かれた議会といえば聞こえはいいが、それを名目に始まった委員会のネット中継。こないだなんかは私が委員長を仰せつかる議会運営委員会の中継がシステム不具合により一部流れなかったとかで報告を受けた際に興味本位で当日の視聴者数を聞いてみれば...ウン人だとか。
議会報告会とて政令市を含む各自治体の実績が公表されているものの参加者数は数十名がいいところ。集客の努力が足りぬというけれども様々な媒体での告知に全議員が街中にてビラ配布を実施、そんな涙ぐましい努力も報われず参加者数に然したる変化は見られなかったとか。となると手段よりも巷の耳目を集める内容こそ...。
やはり手元の資料だけでは判断出来ぬ。百聞は一見に如かず、現場の声を聴いてみるべしと視察が企画されるも本委員会に割かれた予算などあるはずもなく、県内にて実施している自治体を訪ねて現状と課題を伺った。あくまでも議会の報告会だから資料作成から当日の運営までは全て議員が担わねばならず、そのへんは根性論で克服するにせよ、個々の思想信条、主義主張はてんでばらばらな訳で自由な発言を許せば自己PRに余念なく勝手放題にて収拾がつかぬ。
議会として実施する以上は当然ながらそのへんに制約が課せられるのだけれども参加者からすればそれだけでは物足りぬ訳でやはり「あの道路はオレが予算を付けてやったんだ」との歯に衣着せぬ物言いがなくては。聞きたい話が聞けぬ参加者と言いたいことが言えぬ議員、そこにサボる手抜きの意図はないのだけれども議会なる看板が足かせとなり、双方に鬱憤が募る結果は何とも残念。
そう、確かに参加者数だけ見れば個々の報告会のほうが断然多く、それとて入場が拒まれるものでもないのだから毒舌の利いた独演会に取捨選択を有権者の皆様に委ねたほうが賢かったりもして...。
(平成29年8月4日/2368回)