初優勝

姿は見ずとも彼の動きはブログで逐一観察しとる、とはいつぞやの年頭辞。それが米寿を迎える御仁とあらばあくまでも世辞の類であって「ブログ」なんて現代語を知っとるだけでも御立派。そんな粋な御仁を後見人とするHセンセイから酒席帰りに着信があって、とうの昔に駅は通過したはずなんだけど、戻って来ぬかとほろ酔い気味。支援者と御一緒らしく気心の知れた面々との席に私など呼んでも...。
いや、よもや別の意図、団長を呼び出すことで自らの威厳を高めようなどという下心はあるまいな。が、それで当人の評価に繋がるのであれば一肌脱いでおくかと「遠路を」戻った。酒席帰りの時刻とあらば巷の米寿は床のはずなんだけどこちとら饒舌衰えず、そこに鎮座ましますは噂の後援会長。毎年、会長の年頭辞は本人の話以上に耳をかっぽじって拝聴しとりますと挨拶。
その達筆と多才ぶりこそ存じ上げていたものの、空き缶で提灯を作る名人だそうで、「へぇ~」などと頷いて見せれば懐から携帯を取り出して...。それがガラケーならぬスマホ。で、動作こそ些か鈍いものの見事に検索機能を駆使されて目的のページに辿り着いた。そうそう、コレコレと。機能の一部とは申せ米寿の御老体が文明の利器を使いこなすとは恐れ入る。
聞けば本年で会長職は下に譲られたとかで、「まだまだ御元気でしょうに」と水を向ければ、もうこの齢にもなれば壇上で醜態を晒さずとも会場を回って挨拶がてら女性の尻でもと。老いて益々...いやいや、検索されてこちらの内緒話がバレても困るからこのへんにしとくけど侮れぬ米寿。勘定はそちらが上手く済まされて、駄洒落を含む礼状をしたためておいた。
さて、村が違うのだからそれは敵に塩を送るようなものなんだけど、裏を返せばそれだけ真剣な証。隣の団長から依頼があって「全員に」出席を求めておいたんだけど日時がそちらと重なった。折角の依頼に誰も出席せぬとあっては相手に失礼、少なくとも一人位は...。そんな淡い期待を抱いた私が甘く、取捨選択を間違えとるんではないかと憤慨していれば、本日は最大会派の団長にも御出席を...と紹介されて何とか「相手に」顔が立った。
脳卒中から助かる会が主催する講演会及び勉強会にて未だ後遺症に悩まされる方々の体験談と本市への要望を聞かせていただいた。センセイが出席する以上は役所も担当者位は...いやいや、局長自らが「最前列で」しっかりと聞いておられたよ。で、歓喜の瞬間に立ち会えなかったもんだからかくなる上はパレードにでもと。が、往復2時間、本チャン入れれば半日仕事。翌日は大事な議案の審査が予定されていて、くだんの等々力硬式野球場の追加負担35億円の契約事案も含まれる。
その大半が汚染土壌の運搬によるものだそうで何とも無駄に見えてしまうのだけれども幸か不幸か当該委員会の委員長職を仰せつかっているもんだからその道に詳しい人物を招致しての事情聴取を企画すれば指定された日時が...。覆水盆に返らずとも拙速過ぎた感は否めず、浮かび上がる教訓。やはりもう少し慎重に事を進めるべきではなかったか。
そんな等々力を本拠地に苦節21年にして悲願の初優勝。遅ればせながら祝フロンターレ。
(平成29年12月15日/2399回)