特例

趣味とは言わぬまでも対人は苦にならず、それを仕事とも思わんゆえ休暇など年に数日あれば...。と能天気は本人位なものでその役職に付随する関係者少なくなく。居らずと咎めぬから御自由にと伝えておいたのだけれども手渡されし予定表。一部の関係者にしか覗き見れぬ、というか誰に見られているかさえ知らんのだけど、横一列にズラリと「休」が並んではよもや外遊などとヘンな憶測を生まぬとも限らず。あくまでも議長室が「不在」ってことで本人は炎天下に負けず歩いておりますゆえ。
なった途端に姿が見えぬ、さぞ公務が多忙に違いないなどと同情して下さるは少数派でおよそ大半は折角の機会に顔も見せぬとはけしからんとの胸中。議長といえど四十半ばにしてまだまだ若い新人には負けぬ、日に盆踊り二十件など...。犬の小便が如く痕跡残さばあとは口コミ効果で広がるものにて受付のみで退散しようと振り向きざまに「おい、議長」と声の主は虹ヶ丘のK会長。今日「も」運転手がいるんだろと拒む間なく注がれし麦酒。干さねば帰れぬ、されど「公用」にあらずしてそちらは不在。くだらんことだけは機転が利くから披露宴の新郎が如く相手見ておらぬ隙に...。その後も各方面の歓待ぶりに上がらぬ重い腰。万福寺、東百合丘、高石と二十どころか「たった」四つで力尽きた。
が、そんな機会に聞く役所の評判。日頃温厚な支援者から尋常ならざる剣幕で詰め寄られればまずは非を詫びつつ、聞けばその理不尽な回答以上に担当の態度が癪に障ったらしく。監督役が不甲斐ないゆえああいうのが跋扈すると向く矛先。相手に都合の悪いことこそ慎重かつ丁寧に対応せねばならんのに役人にあらずば人にあらず的な態度をとらば火に油。結果、上席に後始末を指示するのだけれども機微に疎いというか世間を知らぬというか余計な仕事を増やしてどうする。
さて、久々の常任委員会は請願の審査。進む市内の再開発、そこに安からぬ税金が投入される以上、市とて口を挟む。用途地域の指定権限は市が有するのだけれどもその指定が気に召さず、再考を求める一件。開発後の大通り沿いに商業施設の誘致を、と近隣商業地区として定める、つまりは容積率が緩和されて従来よりも商業目的に利用しやすくなる一方、防火基準が厳しくなるから新たな負担も。で、その範囲をどう定めるか、そこがまさに「役所的」なのだけれども道路中央線から両側一定距離をそのままにやるもんだから。
自らの土地の真ん中に規制線が入るとあらば不愉快なのは言わずもがな、そこに個人的な鬱憤が含まれることは想像に難くないのだけれどもそれは記さぬが利口。そもそもにその為に用途地域を変更するのだから一定距離などといわず全体に適用範囲を広げよと。ふむふむ、事情は分かった、されど、そこに携わる関係者の合意の下で現在を迎えとる訳で変更後も「再び」得られるならばそれも了となるのだけれども逆に新たな火種を生みやしまいか。再開発に絡む利害調整、全てを酌んでいては前に進まぬどころか道路一本生まれず。水面下の個別対応とてそれで済めば目をつむるもやぶさかならずもゴネ得許されるとあらば他に波及せぬとも限らず、特例の特例ならざるが厄介也。
(令和元年8月10日/2516回)