宣言

所詮は「にわか」の域を脱しきれぬ身にてそこまでの高倍率とは知らず。やはり役職で招待いただいたのだけれども凝った演出に肩肘張らぬ社長のプレゼン。巷の働き方改革に反して部下が休暇を許してくれぬ、とのボヤキ。その名演ぶりに好感度は急上昇....か。そう、フロンターレの新体制発表会のひと幕。来賓の挨拶は市長。オリパラに注目浴びるスポーツ界。市制記念日とあらば市内の小中は休校。偶然の産物なれどその日の聖火リレーは本市の特権と述べる市長にどよめく会場。七月一日@等々力陸上競技場にて。
聖火ランナーには落選、というか資格すらなくもこちらは「特別枠」にて絶好の機会をいただいた。恒例の少年野球連盟のマラソン大会。最近は一緒に走る保護者の姿も目立っていたのだけれども安全上の理由から大人の併走は禁止とか。が、私のみ「議長」の立場、というか十年以上も一緒に走ってきた功績が認められ。例年、最下位の選手と走るのだけれども、今もあの時に一緒に走った子供が...と保護者に声かけられること少なくなく。なった途端に顔見せぬなどと陰口を聞くは不本意、多忙は理由にならず、そんな時こそ最優先にて。子供たちと一緒に走れるってのは最高の贅沢、聖火ランナー以上に。
凱旋というか流浪の末に帰郷した子に「大功成さず帰って来るとは親不孝」と。男児立志郷関...死不還を地でいく親の教えは三国志の英雄、劉備玄徳の母。万民の為、家庭を顧みず身を粉にして働くその姿勢こそが世の共感を生む訳で。実際はちゃっかりと「抜いて」いたりもするのだけれども、そう思わせずに役者を演じて、「日々大変だね」との労いの言葉に気遣われてこそ。いや、何も早い帰宅が喜ばれるとは限らず、どこぞの家庭が如く仕事に没頭するは別な理由、「不還」にならざるを得ない理由があったりも。
そう、話題の取得宣言に割れる賛否。上が範を示すことで下が取得しやすくなる、そのへんの意図は分からんでもないのだけれどもそうすることで自らの企業価値を高めたい、いや、更に申し上げれば自らの経営者としての資質の高さを誇示したい、そこには多分に目立ちたい、世間の耳目を集めたいとの「特別な事情」が隠されているように見えてならず。内なる声は聞けぬ、が、少なくとも一般からはそう「見えて」しまうもので。
確かに過酷な現場にはそんな風潮があるやもしれぬ、ゆえに取得は結構、というか「大いに」結構。が、もし必要とあらばフツーに取ればいいだけの話であえて宣言せずとも。「宣言」横行するはそちらも同じ。結婚、離婚、引退と記者に追い回されるは億劫にて一同に。が、中にはそりゃ「宣言」すべきことなのかと首傾げざるを得ないものまで...。健全な精神は健全な身体に宿るが如くそもそもに当人が順風でなければ他人様に想いを馳せることなど叶わぬ訳で、為政者たるもの順風に限るのだけれども順風満帆ヘの嫉妬心とて少なからず。順風であればあるほど事実伏せるが処世術の極意。
それにしてもそんな個人的な「宣言」が大々的に報道される位だから何とも平和な国ではないかと。
(令和2年1月20日/2548回)