新車

作者不詳の摘録に「何百年に一度という災害に備えるには常にどういうバランスでやるのか(との視点が大事)」と見かけた。発言の主は記者に囲まれた市長。あの惨劇を繰り返さぬ為にも備え万全に、との趣旨は分からんでもないけれどもそこに「ゼロ」の保障なく。古来兵法三十六計、逃げるに如かずこそ極意にて城塞都市を築く位ならば...。前代未聞の防潮堤の必要性やいかに。ということで、風光明媚な景観こそ損ねぬにせよ本市において投資はどこまで必要か。

二度の不調に三度目の正直、というか仕切り直しの一番にて落札者が付いた。不当廉売には該当するか否かの調査が済んだゆえに承認を、と催されし臨時会には新庁舎を巡る議案以外に昨年の台風被害に伴う検証の最終報告が含まれる。全八百頁にも及ぶ長大な報告書の全てとは言わぬまでも被害に遭われた皆様方の声を含む市民意見の冊子は全頁を拝読させていただいた。

一連の検証における焦点の一つは排水樋管のゲート操作。ゲート閉鎖に時間を要したことが被害拡大を招いたのではないか、そこに市の瑕疵は無かったか。第三者の専門家を含む検証では、当日の操作は手順通りに行われていたものの、その過程の中で「何らかの異物がゲートに混入した可能性が高い」と結論づけられ。仮にそれが不可抗力であったとしても本来は作動すべきものが作動しなかった、より正確を期さば「正常に」作動しなかったって話だからその結論に涼しい顔をしていられるものでもなく。

新たな対応の一つとして浸水の被害を軽減させることを目的に排水ポンプ車を購入するとあった。手元の仕様書を見るにバケツリレーに勝る抜群の性能、と理屈では分かるのだけれども大型車両とあらば制約多く、狭い路地には不向きな上に配備箇所とて限られる。現地までの経路に抜かりはないか、仮に目的地に辿り着いたとしてもホースが足りぬ、いや、それ以上に放水先は川と申しても既に氾濫しとるのだからそちらの水位とて推して知るべし。

災害時の備蓄あれど倉庫の鍵なき事例は世に少なからず、よもや運転手が居らぬなんてことは...。そのへんがとんと目に浮かばぬ。実際の現場を目で見ればストンと落ちるのだろうけど、そんな機会なく杞憂に近い意地悪な質問を重ねてしまった。何も無駄とは言わぬ、好機とばかり受注を狙う業者の意図や何らかの対策を講じねばならぬ担当者の置かれた立場まで否定せぬも願わくば「やる」以上は過去の教訓が生かされるものを。

それが仮に自らの新車購入であればどうか。他社と比較の上、入念に吟味を重ね、一円でも安くと知恵を絞り、最後は恐妻を必死で説得して...となるはず(「恐」は余計か)で、そこに他人の財布、いわゆる公金としての甘えはないか。特殊車両とあらば企業間の競争原理が働きにくいばかりか、量産かなわぬだけに価格とて安からず。それでいて年に何度も出動するものではないのだから本市が直接に保有せずと委託や広域行政による共同利用等は検討されたのか等々。会派代表者の質疑を終えた。

(令和2年4月25日/2566回)

川崎市議会議員 山崎なおふみ

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