2023.07.31 08:03帆船身の丈は知りつつも抑えきれぬ衝動に内心を打ち明ける少年。無言のまま窓の外を見つめる父の姿に「ごめんなさい」と踵を返し。その日の夕刻、ベッドの上で呆然と天井を見つめる彼を訪ねる父親がそっと手渡すは封筒。添えられるは知人への手紙、そして、着いたら手紙をよこすように。功成り名遂げた後も忘れ得ぬはノック音、そのたびに涙がこぼれる、と。少年の名はト...
2023.07.25 20:55別棟猛暑に酷暑、とて連想させるに十分なはずも「災害級」と。何も好んでこの季節を選ばずとも。いや、そこに無理な勧誘あらばまだしも出場はあくまでも任意。ハンデ戦なれば年齢に関係なく生まれるチャンスに今年こそ。優勝を狙わんとするにまずは体力。そして、コロナ、夏風邪なんぞに屈せず1番ティーに立たねばならぬ。んな「欲」こそが健康の秘訣。最高齢の八十五歳...
2023.07.20 20:55婚活笹の葉のおひしく見せて鮨つまむ。季語は鮨。クラシックとは無縁に見えし大将のイチオシがこちら。起承転結の四楽章。独創的な旋律の中に静かに幕を下ろす終楽章とは対照的な第三楽章をエネルギッシュに演ずるは若き音大生。所詮はアマ、といえども在籍が在籍にて、そうせざるを得ぬだけの話。幼少より日々レッスンに磨かれた技巧はプロに劣らず、足りぬは経験のみ。...
2023.07.15 20:55山男社会人なりたての頃、画廊にて目にした作品に心奪われ。いつの日かこの作品が似合う邸宅に住まわん。その価格や通勤の途中に見かける外車の値段と同じだった、とか。人生を振り返るにドヴォルザークの「ユモレスク」ほど似合う作品を知らず。波乱の人生、還暦迎える前夜の曲目はスメタナの我が祖国より「モルダウ」、ドヴォルザークの「新世界」。それも御当地を代表...
2023.07.09 20:55告白目に泪するは魚のみにあらず。役人の逸脱を市議が咎める構図にあって、市議の暴走を役人が窘める異例の内容に。質疑聞くあの局長の目は涙、と芭蕉翁を真似て一句。季語が無かったナ。身を切る改革、と申しても、切るは自らならぬ相手の身。独善的な言い分と知れども反論の余地なく、陰鬱な雰囲気の部屋中にあってそこだけが放つ異彩。そう、質問日の前日の話。延長が...
2023.07.04 20:55満州戦後の大物とされる人物の過去遡るにそこに行き着くこと少なからず。広き大陸にあって、どこまでも続く平原に全長二千キロ、世界最速の蒸気機関車「特急あじあ号」を実現させたと語るは地元の老翁なれど、壮大な夢とロマンを求めて海を渡りし面々を待ち受けるは成功談のみにあらず。必需品はガラガラヘビの血清。毒蛇、毒蜘蛛、サソリに勝るはより「小さき」もの、蚊...