2021.07.29 20:55唐黍入塾の際に提出する書類、父親の職業欄に記すは「議員」の二文字かそれとも。合否を左右するに及ばず、政治信条の違いに生徒に向き合う真剣度が変わるなんてことはないはずも、他方、それが票に結びつくやもしれぬと不埒な下心が芽生えぬとも限らず。露骨な二字にあらずと日々の会話にそのへんが推測できたとか。冴えぬ成績に日々数字を求められる営業職が如く。課せ...
2021.07.24 20:55夏蝶期を同じくして羽根田桃園の「あかつき」が届き。被災地に躍動する選手たち。「少々の風に屈せず夏の蝶」と句会に選んだ。猛暑下に生を受くる以上、蝶とて力強くあらねばならぬ。自らも負けじと「河川敷晒す裸体や夏の雲」と詠んでみたものの、「裸」は夏の季語。つまりは季重ねにあたると。甲羅干し、に着想を得て裸体を背中に、いや、「背」と書いて「そびら」と読...
2021.07.19 20:55東名任期中の単なる事実がさも自らの手柄と言わんばかりに語られるはこの世界のみにあらず。そりゃ他人様が評価するもんで。そのイスがチラついて完走を断念したのはセコかった、と就任の前日を振り返ってみせた退任の挨拶。復帰初戦の結果は散々ながら帰りに立ち寄りし長野県川上村のレタスが抜群に旨かった。と申してもシャキシャキ感に新鮮さを堪能したというのが実際...
2021.07.14 20:55古傘暑中見舞には些か早く、一通のはがきが届いた。裏面には在任中の御礼と「天下り」、いや、再就職の報告。末尾には「【本当に】御世話になりました」と。決して達筆とはいえぬも丁寧な一筆が添えられており。ふむ、確かに世話を焼いたな。陰陽でいえば明らかに陰、というか、陽にはあらず。その見方は庁内において衆目の一致する所なれど、それを当人の陰謀と見抜くは...
2021.07.09 20:55校長許されし手段は通信回線を介した往復書簡、つまりはファックス。その何枚ものやりとりを目にした。踊る専門用語に特有の言い回し、古文を読み説く受験生のようなもの。「温もり」なき無機質な文章に伝わらぬ機微。そこに浪費する体力は「双方」ともに他に向けられるべきではないか、と。経緯を聞かば、鳴りやまぬ電話に忙殺されて身動きとれぬ、両者の齟齬をなくす為...
2021.07.04 20:55鍵盤ピアノ教室の門を叩きし二人の幼き姉妹。先生の「手を見せて」とのひと言に従順に従って分かれた明暗。「モノになるやもしれぬ」と言われた妹に対して、「一流にはなれぬ」と宣告された姉。鍵盤を触る前に知らされる限界。挫折にめげず、というかそもそもそこに動機なく、二人とも長く続かなかった、と妻。勿論、「姉」です。演奏家に求められる指の長さと関節の柔軟...